サイバー攻撃者の「無力化」を目的とする、産官学連携のサイバー犯罪対策組織「一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター（JC3：Japan Cybercrime Control Center）」は2016年3月10日、年次カンファレンス「JC3 Forum 2016」を開催した。
満席の会場では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおけるサイバー攻撃対策の計画、日本を狙うサイバー犯罪に警察組織や大手金融機関がどう対処しているかなど、当事者が生々しく講演。聴講者は熱心に聞き入っていた。
サイバー犯罪とどう立ち向かうかは日本全体の問題であり、もはや他人事ではいられない。本特集ではそれぞれの講演をまとめ、日本のサイバー犯罪対処の今を伝える。
「サイバー犯罪者を追い詰める必要がある。それには産官学の連携が欠かせない」。日本サイバー犯罪対策センター（JC3）が2016年3月10日に開いた年次イベント「JC3 Forum 2016」のパネルディスカッションでは、「サイバー脅威の特定・軽減・無効化に向けて」をテーマに活発な議論が交わされた。
「サイバー犯罪の未然防止に向け、どう対策すればいいのかという一つの判断材料としてインテリジェンスを活用する必要性が高まっている」。デロイトトーマツサイバーセキュリティ先端研究所の岩井博樹主任研究員は「サイバー犯罪対応の課題とインテリジェンス活用の重要性」と題した講演をこう切り出した。
「当行もそうだが、痛い目に遭って初めてセキュリティ投資が進む。国内外の銀行などと情報を共有して、この状況を変えたい」。日本サイバー犯罪対策センター（JC3）が開催した年次カンファレンスで、三菱東京UFJ銀行の松野善方コンプライアンス統括部顧客保護推進室室長が一つ目の講演に登壇した。
「サイバー犯罪には国境がない。犯人の追及には海外捜査機関との連携が極めて重要」。警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課の逢阪貴士課長は日本サイバー犯罪対策センター（JC3）が開催した年次カンファレンスでこう主張した。講演ではインターネットバンキングの不正送金事案に関する捜査の実績と課題が語られた。
「2020年の東京オリンピック・パラリンピックでサイバー攻撃は必ず起こる。オールジャパンで防衛体制を作って守り切る」――。日本サイバー犯罪対策センター（JC3）主催の年次カンファレンスの基調講演で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の今井勝典警備局長はこう強調した。