“初心者でも分かる” と “初心者でもできる”
この違い、分かるだろうか?

 商品やサービスにはライフサイクルというものが存在する。生き物の一生と同じく、その商品が誕生し、成長し、市場が一定の規模まで拡大すればその成長が鈍化し、最終的には衰退していくという一連の流れのことだ。マーケティング担当は、こうしたライフサイクルなどの外部環境の変化に合わせて、商品のキャッチコピーを変えていく必要がある。

 ここで冒頭の問いを考えてみよう。

 ニュアンスとしては同じような言葉に見えるが、違いは認識できただろうか?

 最初のコピーは成長初期の商品に適しているコピーだ。後者のキャッチコピーは成熟期の商品での利用が適切だ。何となくイメージできるだろうか?

 キャッチコピーに採用する言葉には、顧客の心理を動かすための意図が必要だ。なぜその言葉を使うのか。どんな顧客の心理を想定したのか。それを意識しながらコピーを作っていくことが重要になる。

ライフサイクルの変化とコピーの関係性

 それでは二つのコピーを例に、それを解説してみたい。

【安心してください!初心者でも分かる○○ もう専門家じゃなくても利用できるんです】

 “初心者でも分かる”という表現の裏側には、その商品が専門的な知識やノウハウが無ければ使いこなせないというニュアンスが隠れている。専門的知識を持った新しい物好きの顧客が、既に一定の割合で購入している状態を想定できるだろう。

 一定の割合の顧客が購入していると市場への認知は高まっていく。そこで、あまり知識も無い顧客層も関心を示すようになる。

 ところが多くの場合、そうした商品に対して顧客が感じるのは、“興味はあるが難しそう”あるいは“どうせ使いこなせない”というもの。この心理的抵抗感を越えられなければ購入には至らない。

 そんな顧客に呼び掛ける言葉が“初心者でも分かる”である。

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