あなたの商品は誰がお客様ですか?
『中小企業がターゲットですね』
『データを分析しても、特に偏りがなく、多くのお客様にご購入頂いているんです』
『興味を持ってくれるのであれば、どんなお客様でも対応します』
筆者が手伝っているマーケティング部門の会議で、“ある質問”をするとほぼ上記のような回答が返ってくる。これが鉄板の答えだ。どんな質問なのか。何となく想像できるのではないだろうか?
【この商品のターゲットは誰ですか?】
多くのマーケティング関連の書籍で必ず出てくるキーワード、それが「顧客ターゲットの絞り込み」だ。ところが、これを意識できていない企業がとても多い。
先日も、あるデバイスの拡販を検討していた、あるIT企業から相談を受けた。トップの方針転換から、これまで展開してきた価格訴求型の商品戦略を、特定業種向けのソリューション型商品として販売するという難題が下りてきたという。
そこで商品の強みを整理し、どんなシーンで利用すれば効果が出るのかを社内で徹底的に議論した。この結果に基づきWebや雑誌広告、全国紙への広告出稿などを実施したのだ。ところが思ったような結果が出せずに、今後の方向性に課題が残った。
この企業が取ったアプローチは間違っているのだろうか?商品の強み、顧客での効果的な活用シーンの想定、それに基づくマーケティング施策への落とし込み。特に問題があるようには思えなかったのではないか。
しかし、事前に共有された販促媒体に表記してあるキャッチコピーを見て、筆者は「これでは当たらないだろう」と直感した。モデルとなる顧客が不在のマーケティングだったからだ。
例えば以下のようなキャッチコピーがあったとしよう。
【驚きの軽さ!これで持ち運びが快適に!】