企業にとって自社の製品やサービスを広く知ってもらうのに有効な手段がプレスリリースだ。今やプレスリリースを配信したことがないという企業はほとんどないだろう。日々、いったいどれくらいの本数のプレスリリースが配信されているのだろうか。

 公的な統計はないようだが、あるプレスリリース配信会社によると、その会社が1カ月に配信する本数は6000本以上という。1日あたり200本にも達する。これは有料サービスの配信会社なので、こうしたサービスを利用しないでプレスリリースを発信している企業や機関も数多くあることを考えると、その本数はもっと多くなるだろう。

 それだけの数のプレスリリースが配信されている中で、メディアの編集部は具体的にどのくらいの本数のプレスリリースを受け取っているのだろうか。リリース配信会社が配信するプレスリリースの本数は、ICT関連の情報だけではなく、エンターテインメントや教育、医療、金融など全ての分野にまたがるものだ。

 そのため、メディアのジャンルによって編集部が受け取るプレスリリースの本数は異なる。私が知る限りでは、ICT関連のメディアの編集部では、少ないところでも日々20本程度、多いところでは60本以上のプレスリリースを受け取っているようだ。そして、日々、担当の編集者がその中から、掲載に値するプレスリリースを取捨選択して記事化している。

多くの広報担当者がしがちな「勘違い」とは

 仮に毎日60本のプレスリリースが送られてきた場合、そのうち記事として取り上げられるのはどのくらいだろうか。もちろんプレスリリースの内容、ニュースとしての価値にもよるが、ある編集部ではプレスリリースから記事にするのは「5分の1程度」という。

 つまり、プレスリリースの大半は記事化されないのだ。だからこそ、メディアの編集者の「目にとまる」プレスリリースの書き方が重要となる。ただし、ここで「勘違い」をしてはいけないことがある。「目にとまる」とは「目立つ」ことでも「キャッチ―」なことでもないということだ。

 筆者は以前にある会社からプレスリリースの製作で相談を受けたことがある。その内容とは、「うちの会社の広報チームが、あるコンサルタントからの指示に困惑している」というものだった。そのコンサルタントは、PR会社出身の広報やPRを専門としているようで、プレスリリースの製作に当たって次のように指示をしたというのだ。

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