前回はデジタルマーケティングの分野で注目され始めた「MarTech」という言葉に込められた意図や、この言葉が登場した背景について紹介しました。さらにエンジニアの業務でマーケティング視点を持つこと、そしてマーケティングに携わる人々と協業していくことの必要性について話しました。

 連載2回目となる今回は、事業の成長や発展を推進するために欠かせない「顧客視点」について考えます。またエンジニアとマーケティング担当者が協業していくうえで、「顧客」を共に考え、その視点を共有していくための有効な手法についても説明します。

「顧客」を知ることがビジネス「基本の<き>」

 システムの開発や運用に携わっていて、「顧客」という言葉を聞くと、皆さんはどのような人たちを想像するでしょう?皆さんが開発したシステムを使って日々の業務を行う社内の担当者たちでしょうか?それとも会社の提供する商品やサービスを購入するお客様のことでしょうか?

 業務を進めていく上で、その結果や成果を受け取る立場の人々を「顧客」と捉えられるでしょう。しかし「顧客」という言葉で定義される集団、または個人は、一時的なやり取りをする人々を指すわけではありません。

 「顧客」という言葉には「お得意様」という意味合いが含まれています。提供する商品やサービスを繰り返し使い、その対価を支払ってくれる存在であり、商品やサービスを利用し評価をする人々のことです。

図1●「顧客」の定義を考え、整理する
図1●「顧客」の定義を考え、整理する
「顧客」とはどのような人を指すのか? その定義を考え、自分たちの事業における「顧客」像を明確化することが重要
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「顧客」からの評価が事業の利益を生む

 企業は「顧客」が商品やサービスに対して支払った代金や料金=売り上げ、によって永続的な運営を行っています。言うまでもなく、より多くの「顧客」を作り出すことが事業に関わる全ての部署の課題であり、目標の一つになります。

 しかし、エンジニアの皆さんは日々業務に当たる中で、どのくらいここで書いた「顧客」を意識することがあるでしょうか?もちろん、業務の内容やプロセスでサービスを利用する「ユーザー」としての顧客を考え、開発を進めていくことはあると思います。また顧客獲得のために、皆さんが開発に携わったツールやサービスを社内で活用する人々を常に念頭に置いて業務に当たっている方がほとんどだと思います。

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