この「日本を復活させるB2Bマーケティング」の連載では、以前「Marketing手法から考えDigitalを活用する--GE Healthcare飯室氏に聞く」(前編、後編)で、B2Bのマーケティングを牽引しているキーパーソンからの話を掲載しました。B2B企業のマーケティングを理解するには、実際の担当者に話を聞くのが良いと考えているからです。今回は、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 副部長の中東 孝夫さんに、話を聞きました。
中東さんのKDDIでのお仕事
KDDIは、一般の消費者/生活者からは、携帯電話の会社のように見えるでしょう。今回お会いした中東さんの役職は、法人事業部門のマーケティング部の副部長です。法人向けの携帯の回線や、ネットワーク、IaaSといった情報基盤のマーケティングを担っています。商品というよりは、「ソリューション事業本部」とあるように、法人ネットワークに関わるサービス・ソリューションの提供という方が適切でしょう。
つまり中東さんは、KDDIのB2B領域のマーケティングを担当していることになります。中東さんといえば、以前からDataを活用したマーケティングを実践してきた人物。KDDIでもその考えに変更がないのかを聞くことから、会話はスタートしました。
Dataを使ったビジネスは重要
中東さんは、「Data Drivenな考えは必要でしょう。ただし企業にはカルチャーもあり、Data Drivenでなかった企業は、Dataを活用するメリットを伝え、今までの行動規範を変えることが必要」と、明言しました。今までData Drivenな考えがない企業に、まずその重要性を説明し、ビジネスの行動をData Drivenに変えるように、日常のビジネス行動から変えなくてはいけないということです。
この点には、私も共感する部分が多いです。Data Drivenに進めるということは、実はData Science能力が高くなるだけでは不十分で、その説明を受ける側もDataに基づいた議論に慣れていないといけません。
つまり、Dataを使ったビジネスの強化のためには、分析力が必要なだけではなく、企業全体がData Drivenにならなくてはならないのです。いくらData Scientistが、適切な分析や適切な説明をしていても、聞いている方が「Data見ると頭が痛い」状況では、Data Drivenな事業を建設的に進められないでしょう。まず企業の中のカルチャーを、Data Drivenなカルチャーに変更することが不可欠であると中東さんは実感しており、「行動規範を変える」ことを指摘したのでしょう。
似たような事例は、米国P&Gが近いでしょう。P&Gは2013年に Data-Driven Businessを進めるための、3段階を発表しました(Three Steps to Successful Data-Driven Business by Procter & Gamble CEO)。
この3段階とは、
- Get The Right Tools And Technology
- Put The Right People In The Right Places
- Build The Right Culture