前回から、企業におけるData分析力の強化を考えています。
複数回にわたってこのテーマを解説しているのは、「Data分析力を強化するには、Dataサイエンティストを採用すればいい」と考えている企業があまりにも多いからです。
前回説明したように、企業がData分析力を強化するには、組織のカルチャー変更が大きな鍵になります。つまりDataサイエンティストを採用するだけでは、不十分なのです。
Dataを統計する前に必要な要素は、マーケティングで証明したい事実、そしてマーケティングでたどり着きたいゴールを議論することでした。前回の記事で示したData分析のステップを再掲します。
- Data分析の目的、つまりマーケティングで証明したいこと、将来実現したいことを再確認する
- 証明したいことが証明通りなのか、違うのか?将来実現したいことに一番影響のある要素は何なのかなど、今回の分析に関する、予測や推測をする
- 上記の予測や推測から、必要なDataの種類を明確にする
- 必要なDataを実際に集める
- 必要なDataの中で、実際に収集不可能なものを明確にし、そのDataをどのようにするか決める
- 分析をして、証明したいことや、将来のマーケティングのモデルを構築する
1~4のステップは前回解説しました。今回は、実際の分析の部分である、5.不足しているDataの検討と6.Data分析とマーケティングモデルの構築を考えてみたいと思います。
意外とDataが不足している企業の分析
今まで議論してきたように、企業はまず何を証明したいかを考え、その証明にはどのようなDataが必要かを考えて、Dataを集めてきました。そして集めてきたDataを眺めると、意外と必要なDataが不足している場合が多いのです。
例えば、以下のような理由からDataが不足していることが考えられます。
- 会社にはあるが、自組織にない
- 会社にあるDataの精度が足りない
- 会社に該当するDataがない
「1.会社にはあるが、自組織にない」という場合は、答えは簡単です。Data提供の協力を仰ぐことになるでしょう。
しかし実際には、社内の風通しの悪さや、部門ごとのData分析への関心の違いなどが障害となって、Data共有が難しい場合もあるでしょう。日本の企業ではなぜか、ルールに従って、Dataを社内の全部署で一つに保管しているケースは少ないようです。