前回はマーケティングデータベースの育て方について話しました。鮮度が維持された高品質なマーケティングデータベースを作り上げ、それを基にして初めてデジタルマーケティングは機能するものと考えています。

デジタル時代に、なぜ展示会に出展するの?

 データベースの構築のため、海外では「リスト購入」が一般的な手法ですが、日本では個人情報保護法によって個人情報を購入できません。それに代わるコンタクトリストの獲得手段が必要になります。

 具体的にはデータベースを保有・メンテナンスしている会社のメディア(メルマガ、Webなど)にコンテンツを掲載する、いわゆる「コンテンツマーケティング」などがあります。加えて、大規模展示会によるコンタクトリストの獲得は費用対効果の高い手法として定着しています。

 展示会出展の目的は、AIDMAモデルの観点から見ると認知の獲得から商談の促進まで幅広く考えられます。ただしデジタルマーケティングの観点ではコンタクトとリードの獲得に絞られます。

ポートフォリオとしての展示会選び

 私は、出展する展示会の選択が、展示会によるコンタクト獲得の成否を大きく左右すると考えています。もちろん理想的な展示会を選択していても、会場内のコマ位置や向き、導線、天気、交通などの外部要因に左右される面はあります。周辺の出展社のブースデザインや呼び込み行動によっても人の流れは大きく影響を受けます。

 さらにコマ内のレイアウトやブースのデザイン、声のかけ方など、様々な要因でお客様に立ち寄ってもらえるかどうかが変わってきます。とはいえ、現場で最高のブースを用意できたとしても、出展した展示会にターゲット層が来場しなくては、目指すゴールには到達できません。

 つまり、マーケティングプランに基づき誰をターゲットに何をメッセージするかを明確にできていなければ、どの展示会に出展するかを判断できないことになります。ルーチン的に決まったイベントに出展を続けていると、出展という「手段」を「目的」と勘違いして、気がつかないうちに出展を決めてから何を見せるか考えるといった落とし穴にはまっていることがあります。そもそも何をゴール/KPI(重要業績評価指標)として展示会に出展するのかは、忘れないようにしたいものです。

 実際に展示会を選ぶに当たっては、その目的や費用対効果などから、どの地域の、どの時期の展示会に、どのような形で出展するのか(単独出展・共同出展・他社出展に間借り、主催者ブースに参加、パートナー企業に依頼)など、様々な観点から検討します。そして単独ではなく「ポートフォリオ」を組んで展示会を選択します。

 展示会そのものの集客力や来場者特性などは、イベントの出展社ガイドからある程度読み取れます。それでも可能なら、出展を決定する前(つまり前年度)に実際に現場を見学して、良い点・悪い点など自分の目で確認しておくことをお薦めします。

 「百聞は一見に如かず」といいます。展示会の現場からは、来場者の雰囲気や人の流れ、運営会社の実力、他社が何をメッセージしているかなど、紙やネットだけではわからないことを肌で感じられます。もちろんマーケターには、他のブースの運営やデザイン・メッセージの伝え方・ノベルティの流行など学ぶことはたくさんあります。

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