機械学習のシステムを自前でゼロから構築しようとすると、大きな手間とコストがかかる。ビッグデータの管理や処理、ストレージ、サーバーリソースなどの投資が必要で、コスト負担は小さくない。既にこうした基盤があるなら機械学習用のフレームワークを導入したサーバー群を用意すればよい。それでもさまざまなミドルウエアを組み合わせて活用するスキルが必要であり、システム構築・運用のハードルは高い。

 そこで検討したいのが、パブリッククラウド事業者が提供する機械学習サービスだ。いくつかあるが、2大サービスといわれるのが、米Microsoftが提供する「Microsoft Azure Machine Learning(ML)」と、米Amazon Web Services(AWS)が提供する「Amazon Machine Learning(ML)」である(表A)。いずれもクラウドサービスとして提供されるので、ハードウエアやソフトウエアの導入は必要ない。両サービスとも利用料金を低く抑えており、機械学習を始める第一歩として効果的である。

表A●機械学習の2大サービスの料金
表A●機械学習の2大サービスの料金
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既に事例も多い「Azure ML」

 2014年7月に登場したMicrosoft Azure MLは、既に豊富な事例がある。「Webサイトでおすすめを表示するレコメンデーションや、機器の故障予測の用途などで使われることが多い」と、日本マイクロソフトの北川 剛氏(サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)は打ち明ける。

 Microsoft Azure MLは、最初にデータソースを取り込んで、次にクラス分類や回帰などの用途を設定する。予測モデルを生成するには、開発環境を利用する必要があり、料金は月額1018.98円/シート(モデル)と、102円/稼働時間(h)が発生する。

 生成した予測モデルを利用するには、稼働環境の料金がかかる。具体的には204円/稼働時間(h)、51円/1000トランザクションである。データ量が10Gバイトまでなら無償で利用できるサービスもある。

 同社では近々、深層学習のサービスも追加する計画だ。これらを加えてビッグデータ基盤の活用サービスとして利用しやすい形とする。

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