「テスト期間を経て一定の成果が得られ、10月からの規模拡大に踏み切った」―。こう語るのは、みずほフィナンシャルグループの金子 慎太郎氏(インキュベーションPT 参事役)である。同氏が参加するインキュベーションPT(プロジェクトチーム)は現在、ITを活用した金融改革「FinTech」を推進している。その中で機械学習の活用は、コア事業と位置付けている。

 みずほ銀行は2015年2月、機械学習を活用したコールセンターシステムを構築した。端末10台で「IBM Watson」を利用し、主にオンラインバンキングに関する電話での問い合わせ対応で、回答候補を自動検索する(図2)。

図2●みずほ銀行が導入したコールセンターシステム
図2●みずほ銀行が導入したコールセンターシステム
音声認識してテキスト変換したデータを基に、IBM Watsonを使って、回答の候補を抽出。将 来は店舗に導入したPepperと連携させる計画
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 同システムでは、まず顧客が電話口で質問すると、その内容を音声認識して文字データに変換。次にそれをIBM Watsonが生成した予測モデルにかけて、該当しそうな回答候補を五つ選んで画面上に表示する。最後にそれを、オペレーターが上から順に読み上げる、というものだ。

 前述のクラスタリングの用途である。IBM Watsonには、Webサイトの情報や説明用のドキュメントなどを多数登録してモデル化している。その上で、顧客の声から検索キーワードを生成し、類似する情報を探す。

 当初は10台の端末でテストしていたが、10月には200台に拡大。金子氏らはその判断に当たり、いくつかの指標を設けていた。例えば「回答時間」がその一つ。IBM Watson未使用時には、1件当たり平均9分かかっていた回答時間を1分ほど縮めたいと考えていた。「実際には1分まで届かなかったが、IBM Watsonの利用でそれに近い実績を得られた」(金子氏)。当初80%に設定していた「音声認識率」と「文字変換率」は、問題なくクリアできた。

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