顧客の購買行動が変化し、これまで対面で行っていた「顧客の課題に合わせた情報提供」という営業活動の前半がデジタルに置き換わっている――。こうした流れの中、マーケティングプロセスでコンテンツを活用することが必須となってきた。競争力を強化するため、コンテンツ活用やマーケティング戦略をどう立案し、どう検証すべきか。第1回に続き、Nexal 代表取締役の上島千鶴氏に話を聞いた。

BtoBとBtoCはコンテンツ設計の視点が異なる

コンテンツマーケティングで最大の課題が、「コンテンツが作れない」ということだと思います。これはどう解決すればよいのでしょうか?

上島氏 「体験要素」と「コンテンツ要素」については、企業側が十分だと思っていても顧客から見るとまだまだ改善の余地があるものがたくさんあります。

 「体験要素」の例でいえば、顧客がスマホで営業拠点の問い合わせ先を検索して電話番号が出てきたものの、数字がアクティブになっていないのでクリックしてすぐ電話をかけられない、などの小さな改善ポイントはしばしばあります。

 また「コンテンツ要素」でいえば、顧客が業界初心者や上司から指示された若手の情報収集担当者なら、業界用語や硬い文章で書かれた解説よりもマンガや用語解説などのコンテンツを、文章にすると解説が長くなるのでもっと端的に伝えたい場合は、文字ではなくアニメーションや実写での動画にするなどの検討が必要です。展示会なら紙のパンフレットを置くだけでなく、来場者が会社に戻った時に展開できるようPDFダウンロードも可能にしたり、デモ用アプリやデモIDを用意して体験してもらうとよいでしょう。このように顧客の視点に立てば、最適な手段や表現、体験やコンテンツ要素はいろいろ考えられます。

 ただBtoBの担当者は、「顧客視点に立つ」ということがBtoCの担当者に比べてやや不得意という傾向があります。中には「なぜうちの製品が選ばれたんだろう」と、自社の強みや評価ポイントさえ説明できないケースがあります。「自社を客観的に見つめ直す」「製品やサービスの潜在的な価値=顧客の課題を棚卸しする」ことが必要です。いずれにせよ、まだ自分のことを知らない相手に自分自身を“伝える”という視点が抜けています。相手は自社を知っているだろうというプライドがある企業ほど、“水漏れ”が激しく、商売の対象を自ら狭めているという、危機意識が低い典型例かもしれません。C向けに社名は知られていても、B向けには事業内容や解決できるソリューション、具体的な製品・サービスは知られていないケースがほとんどです。一度初心に戻り、謙虚になって、自社を見つめ直す姿勢が必要です。

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