マイクロサービスは、企業情報システムにとっても重要なキーワード。“攻めのIT”の実現に、迅速なシステム開発が欠かせないからだ。まずは消費者や取引先企業向けシステムへの適用が見込める。将来的には、基幹系システムにも広がる可能性がある。

 迅速なアプリケーション開発や改変、スケーラビリティの確保、エンジニアのモチベーション向上――。バラバラを是とすることで生まれるマイクロサービスの特徴は、企業情報システムでも生きる。

 「今後は企業情報システムでも、取り組みが必要になるのは間違いない」。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)クラウド・セキュリティ事業推進本部 クラウドイノベーションセンターの技術陣はこう断言する。

 中でも有望視されるのは、「ITを用いてビジネス拡大を狙う、戦略投資部分」(同センター クラウド技術開発第2課 羽田野晋一氏)。新技術を活用して顧客の開拓や売り上げの向上を目指す、いわゆる“攻めのIT”だ。

 こうしたシステムには「完成までに数年かける開発手法では追いつかない」(同課の萱間真人氏)。スピード重視のシステム開発には業種を問わず関心が高まっているという。例えば金融機関なら、「アルゴリズム取引などの進化に金融商品で迅速に対応しなくては機会損失を招く」(同課の山本徹課長)。

クラウド環境の整備が進む

 ITベンダー各社は、企業情報システムへの適用を見越して、支援体制の整備を急ぐ。内容は大きく二つ。マイクロサービスの開発基盤としてのクラウドサービスの拡充と、自社に知見を蓄積するための技術検証だ。

 米IBMが注力するのは、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)環境「Bluemix」。同社はBluemixを、「Systems of Engagement(SoE)」と呼ぶシステムの開発基盤に位置付ける(図11)。

図11 マイクロサービスの企業情報システム開発への適用例
サービスを通じて両者を連携
図11 マイクロサービスの企業情報システム開発への適用例
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。