アプローチはさまざま
50%OFFも十分可能
パブリッククラウドのコストはさまざまな方法で削減できる。実際にコスト削減に成功したIT現場は、どのような工夫をしたのか。先行7社のコスト削減事例を紹介する。
パブリッククラウドのコストは、サーバーの台数やスペックの変更、運用や保守の工夫などによって大きく変わる。これらの要素を工夫すれば、コスト削減は可能だ。ただし、コストを削減するに当たっては、注意すべき点がいくつかある。
第3回から第6回にて、コスト削減に成功した先行7社の事例を紹介しよう。図1に示したのは、各社の代表的な工夫だ。
実際には、複数の工夫を組み合わせてコスト削減に努めている。各社の工夫はコスト削減を検討する際に大いに参考になるはずだ。
事例1
協和発酵キリン
こまめなチェックで無駄使いを省く
最初に紹介するのは、サーバーリソースの使用量をこまめにチェックすることで、無駄なコストを省いている協和発酵キリンの例だ。
協和発酵キリンは、基幹システムをAWS(Amazon Web Services)上に構築し、2013年から運用している。運用は2年を経過し、現在は納得のいくコストで運用できているという。
ところが「当初は一部システムのコストが高かった」と、AWSの導入を指揮した篠田敏幸氏(情報システム部長)は振り返る。コスト高の原因は、必要以上のスペックでシステムを構成していたこと。「だいたい5年先を見越したスペックでシステムを構成していた」と篠田氏は説明する。ピーク時や最大使用量からシステム構成を決定する、従来のオンプレミスのサイジングではごく普通の光景だ。
オンプレミスの台数に合わせてサーバーを構築すると、必要以上の台数になっていた。しかも、それらはすべて24時間稼働を前提としていた。その結果、実際の使用量に比べてコストが割高になっていたのである。
そこで篠田氏は、システム構成の見直しに着手した。ポイントとなったのはのは、適正なサーバー台数をどのように導くかである。ピーク時や最大使用量をベースにするとコストが上昇してしまう。コスト削減を実現しつつ、適正なリソースを導くのは簡単ではない。