近年、企業のマーケティング活動に動画をはじめとするコンテンツを応用する動きが進んでいる。その最先端の動きを解説するため、ITproに連載していた「SNSと企業の一歩進んだ付き合い方講座」のバックナンバーから記事を抜粋した。コンテンツを使う企業マーケティングの動向や日米の差異が見えてくるはずだ。



 ここ数年、日本でも急激に「コンテンツマーケティング」という言葉がよく聞かれるようになった。「コンテンツマーケティング」とは、既存顧客、そして潜在顧客との関係性を構築するために、継続的に適切なコンテンツを作成し配布するマーケティング手法を指す。こういった考え方そのものは古くからあるが、「コンテンツマーケティング」という言葉が使われ始めたのは20年ほど前と言われている。

 このコンテンツマーケティングが、近年、デジタルマーケティングにおいて、非常に重要性を増している。消費者が自らに合った情報を能動的に探すようになってきたことで、検索する過程で、その企業やサービスを、どうやって “見つけてもらう” かが重要になってきたからだ。また、こうしたコンテンツがソーシャルメディア経由で広範囲に広がることも拍車をかけている。そのため、企業は広告ではなく、積極的にコンテンツを制作するようになってきている。

 こうした動きが急速に広がっていることもあり、米国では企業のマーケティング予算におけるコンテンツマーケティング費用の割合がどんどん高まっている。米国の「The Content Council(コンテンツ評議会)」の調査によると、米国企業がコンテンツマーケティング費用として投下する金額は、2年前はマーケティング予算全体の13%。これはウェブサイトの運営費用の14%とほぼ同じ程度だったが、現在は23%と増加しており、さらに2年後には33%にまで拡大すると予測されている。実際、回答者の76%は、今後2年間、さらにコンテンツマーケティングに対する投資を拡大させると考えているようだ。

 コンテンツマーケティング費用が拡大するといっても、それは決してコンテンツの制作費が増加するだけではない。もちろん、制作するコンテンツの絶対数が増えたり、コンテンツにおける動画の割合が多くなったりすることで、制作費自体も増加する。だが、それ以上に「戦略立案」や「分析・効果測定」における費用が大きくなるようだ。回答者の半数以上は「コンテンツマーケティングのパフォーマンスは、十分効果測定が可能だ」と回答している。今後はますます自分たちが制作したコンテンツと、それが企業、製品、サービスなどのブランド認知や売り上げの向上といったゴールとの因果関係を具体的な形で可視化させることが求められることになるだろう。

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