キャッチコピーは事例の中で最初に目に入る重要な箇所です。今回は、これまで2回にわたって説明した「インパクトあるキャッチコピーを考えようとするのは無意味である」の結論として、読者を振り向かせるための「秘策」を解説します。引き続き新人事例制作者とベテラン制作者との架空対談という形でお届けします(Qが新人、Aがベテランです。シリーズのその1、その2はこちらから)。
Q:前回は相手の属性を呼びかけて引っかける(フックする)考え方の説明でした。具体的には、「とりあえず人を振り向かせるには『30代の男性のみなさ~ん』など、その人の属性を呼びかけるのがてっとり早い。しかし、それではBtoBの製品宣伝にはつなげにくい」という話でしたが、ではどうすればよいのでしょうか。
A:人を振り向かせるには属性を呼びかければよいというのは、相手が個人でも法人でも変わらない。BtoBでも同じく属性を呼びかければよい。
Q:「東京都の大手製造業のみなさ~ん」とか呼びかけるんですか。
A:もっとさりげなく、しかも有効な方法がある。写真を使えばよい。
Q:写真を使う?
A:事例取材のときは取材先の写真を撮る。このとき背景は何にすればよいか。答えは「相手の業種業態が一発で分かる背景」だ。花屋だったら花をバックにしておけという話だ。
Q:その背景で属性情報を伝えるということですか?
A:そうだ。ホームページ上にいくつも並んでいる事例の中で、見込み客はどれに関心を持つか。それは「自分と同規模、同業種、同社風の企業が出ている事例」だ。誰しも、自分と同規模の同業他社の情報には関心があるものなんだ。
Q:うーん、規模は大きい方がいいんじゃないですか。有名大企業のインパクトある先進事例が一つあれば、中小企業ユーザーもそれを参考にするのでは?
A:残念ながらそうはならない。中小企業に大企業の事例を見せても、「それは人材も予算も豊富な大企業の話でしょ。ウチにはとてもとても…」と敬遠されるだけだ。法人でも個人でも、人間は【自分に関係ある話】にしか興味がない。