「そんなの決めつけだ」
「勝手に決めつけないでください」
これらは強い不快を表す言葉です。
人は他人に決めつけられることを非常に嫌い、それには強く反発します。
「軽く決めつける」という質問法はこの反発心を逆利用するものです。もちろん「軽く」というところがポイントで、強く決めつけたのでは反感を買って終わりです。
ではどうやれば「軽く」決めつけることができるのでしょうか。それには「復唱・確認」という手法を使います。
具体的には、事例取材の途中で「ここまでの内容を確認、復唱させていただきます。おっしゃったことは、かくかくしかじかの内容でしょうか」というように、相手の言ったことをいったんまとめます。これは確認、復唱ではありますが、別の見方からいえば「軽く決めつける」ことにもなります。
ほとんどの取材先は、この要約に対し、「そうですね」と答えるだけです。しかし場合によっては、「今の内容でだいたい合っているとは思いますが、実はそれだけではなく…」という形で追加情報を加えてくる場合があります。あるいは「いや、そうじゃなくて、」と相手が再度、自分の考えをいう場合もあります。
ここで語られる情報には非常に高い価値があります。大きくは次の3点です。
1.認識ちがいの修正
自分の認識を言葉で述べ、それに対する間違いや不足を指摘されるので、それに従って認識を修正できます。これは復唱・確認の本来の意義といえます。
2.「ふわっとした話」が補強される
人がリラックスして語るとき、「ふわっとした話」になりがちです。楽に語っている分、話の前後の論理整合にそれほど気を遣っていないのです。