米Steelhouse社とForrester Researchが2016年4月に共同で実施した調査(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)で、現在の米国のデジタルマーケターの実態についてレポートしている。デジタルマーケターたちは、「日々平均5つのマーケティングツールを使用して」おり、「4社のベンダーを使いながら、ソーシャル広告やディスプレイ広告、動画広告、メール広告等、様々な種類の広告を出稿し、運用している」という。

 特にテクノロジーの進化が激しいオンライン広告については、新しい広告技術や手法、そしてそれに対応した様々なツールやベンダーが登場し続けている。調査結果では、「マーケターは、それについていくだけで精一杯な状態となっている」と指摘する。

 さらに現在、マーケターが使用しているマーケティングツールを多い順に挙げている。具体的には「Webサイト分析ツール(84%)」、「マーケティングパフォーマンスの測定ツール(82%)」、「コンテンツ用のアセットマネジメントツール(80%)」、「DMP=Data Management Platform(78%)」、「マーケティングアトリビューションツール(77%)」、「リターゲティングツール(77%)」となっている。

 これらツールのラインナップを見るだけで、デジタルマーケターの業務の煩雑さを想像できるはずだ。おそらくはWebサイト分析ツールで日々自社のWebサイトのパフォーマンスをチェックし、DMPでどういったユーザーに対して広告を配信して集客するかを考え、アセットマネジメントツール(=デジタル アセット マネジメント ツールのことで、DAMとも呼ばれる。広告などの素材となる画像・動画・音源など企業内のデジタルデータを一元管理する仕組み)から適切な画像を選んだ後で広告クリエイティブの制作を依頼し(あるいは自分で作り)、広告配信後にそのパフォーマンスを測定し、必要に応じてリターゲティングするといった手順になっているはずだ。

 そして広告の配信先が増えるほど、使用するツールの数も増え、協業するベンダーやエージェンシーの数も増えてくる。冒頭で挙げた調査では、「米国のデジタルマーケターが日々のマーケティング活動のオペレーションで協業するベンダー、エージェンシーの数は平均して3.8社」という結果を公開している。しかも企業規模が大きくなるほど、社内の各部署で異なったツールやベンダー、エージェンシーを使うケースが増えてくる。そうした結果がさらに、企業全体のマーケティング業務を煩雑化させている。

 こういった課題が顕在化すると、企業はベンダーやツールの集約を考えるようになる。しかし実際には、それがなかなか形になっていない。

 調査では、その要因として「特定のベンダーへの過度な依存に対する懸念(51%)」や「スイッチングコストの高さ(47%)」、そして「自分たちの課題を解決するための適切なソリューションがない(38%)」といった結果を明らかにしている。

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