ソーシャルメディアが企業のマーケティング活動に活用され始めた当時、そのほとんどは「自分たちの伝えたい情報を広範囲に伝えられるメディア」として位置付けられていた。企業のソーシャルメディア担当者は、少しでも自分たちの投稿が広く拡散されるように工夫を凝らし、ソーシャルメディア上での自社のブランディングを実践するのが常だった。

 だが、その取り組みが大きく変わってきている。

 2016年11月、米Altimeter Groupが発表した、欧米企業約500社のデジタルマーケターに実施した調査結果によると、企業によるソーシャルメディアの活用で最も重要視されているのは“顧客体験”であるという。回答者全体の80%を超える回答を集めた。ブランディングや売り上げの向上ではなく、顧客によりよい体験を提供するツールとしてのソーシャルメディア活用にシフトし始めている。

 実際、2017年に積極的に投資されるソーシャルメディア施策を見ていくと、その状況が鮮明になる。「ブランデッド・カスタマー・コミュニティー(企業がオンライン上に常設するコミュニティー)」や「カスタマーサービス」、あるいは「ソーシャルCRM」といったものが上位に並んでいるのだ。その一方、これまで積極的に展開されてきた「ソーシャル・エンゲージメント」や「イベントやスポンサーシップの活性化」、「インフルエンサーとの関係性構築」などは低く抑えられている。

 ソーシャルメディアが顧客体験を向上させるようその位置付けを変えてきたことで、ソーシャルメディア担当者(部門)に対して求められる役割もまた変わってきた。同調査リポートでは、その変化を「イノベーターからインテグレーターへのシフト」という形で表現している。

 つまりソーシャルメディア担当者(部門)は、今後マーケティングコミュニケーションやカスタマーサポート、Eコマースといった様々な領域で、顧客体験を向上させる目的のためにソーシャルメディアを適切な形で組み込むことを求められているという。そのためには今まで以上に他部門とのコラボレーションが重要になってくるという点にもしっかり言及している。

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