2017年秋に、日本市場でスマートスピーカーが活況を呈している。米グーグルが「Google Home」を、米アマゾンが「Amazon Echo」を日本市場に投入し、LINEも「Clova WAVE」を発売したのだ。各社が「トレンドを作っている」といってもいいだろう。

 スマートスピーカーが普及すると、人々の情報やサービスに対する接触の仕方も変わってくる。端的に言えば「これまでキーボードなどを使っていたアクションが、“話しかける”ことに置き換えられる」ようになる。マーケティングでは、デジタルを接点にしている利用者(企業から見れば「顧客」)の行動が、より突発的にかつ直感的になものとなって表れるという意味がある。

 顧客行動の変化に伴って、マーケティング活動におけるアプローチも、また変わってくる。例えば“検索”という処理を一つ取ってみても大きな変化が予想される。

 情報を発信するの立場からすると、今後は顧客だけではなく、スマートスピーカー(というよりは、その先につながっている人工知能や、さらにその先につながる検索エンジン)にもきちんと自分たちのコンテンツや情報を理解してもらわなくてはならなくなる。もちろん今までも、SEO(サーチエンジン最適化)などの取り組みで検索エンジンに理解してもらうことは必要な要素ではあった。その重要度が今後さらに増してくるだろう。

 また“アプリ開発”も、重要度を持つことになる。このために理解すべきは、Google Homeの「Actions on Google」や、Amazon Echoの「Alexa Skills」といったスマートスピーカーが搭載したAIが実行するプログラムとなる。

 今後企業は、これらのアプリ開発にハイレベルで取り組まなくてはならない。これらのアプリが、企業がスマートスピーカーを介して顧客と交わる際の接点となるからだ。これらのアプリが十分なクオリティを提供できなければ、スマートスピーカー市場の中で“存在しないもの”として扱われてしまう。

 そして、何よりも問われてくるのが“顧客との結びつきを強く保つ”ことだ。今後スマートスピーカーを介して実施する購買行動で“比較検討する”といったプロセスは、ほぼ皆無になってしまうだろう。

 これは利用者側にあった「検索結果に対する選択の余地」が大きく狭められるからだ。従来の検索エンジンはWebページに結果を(可能性が高いと考えるものを上位に乗せたとしても)一覧で表示していた。これに対しスマートスピーカーは、問い合わせに対してアプリが「最適」と判断した結果を一つだけ、音声に載せて回答するか、直接アクションとして返す。

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