2016年11月、米国の広報代理店Walker Sands Communicationsが、2015年に続き「MarTech」の最新動向をまとめた『State of Marketing Technology 2017』を発表した。MarTech(マーテック)とは、高速かつ効果的なビジネス展開を目的に、企業がマーケティング活動にデジタル技術を取り入れること、またはその技術を指す。同レポートによると、2015年から16年にかけてMarTech関係のベンダーがほぼ2倍に増え、合わせて約10億ドル(約1030億円)の資金がベンチャーキャピタルから調達されているという。

 背景にあるのは、MarTechに対する市場のニーズ。事業会社側でも、MarTech関連に使う予算が広告予算を上回るケースが、少なからず見受けられるようになってきた。それだけマーケティング活動にテクノロジーが重要視されてきているわけだが、その一方で課題も顕在化してきた。

 State of Marketing Technology 2017によると、MarTechの進化を「非常に急激なものだ」と回答した企業は約70%という。「自分たちはMarTechに対して“イノベーター”もしくは“アーリーアダプター”の立場である」と回答した企業は48%に上り、20%だった2015年から2倍以上の伸びを見せている。そして70%の企業が「2017年のMarTech予算を増額する」趣旨の回答をしている。

 こういった数字を見る限り、MarTechが進化を続け、それに合わせて企業もテクノロジーを使いこなしているように見える。しかし同レポートの詳細からは、現実が異なっていることが分かる。

 「現在、自分たちは(導入している)MarTechツールの機能をフルに使いこなせている」と回答している企業はわずか3%だった。さらに半数以上(56%)の企業は「自分たちがテクノロジーを使いこなすスピードよりも早くMarTechが進化している」と回答している。テクノロジーの急激な進化に対して、企業が追いつけていない状況にあるということだ。

 マーケターがキャッチアップしなくてはならない事柄は、現在非常に多くなっている。それは市場や競合の動きなど業界内の動向だけではなく、一見自分たちのビジネスとは関係が無いように見えるテクノロジーや、それを利活用したツールやサービスも含む。特に最近では、テクノロジーを的確にキャッチアップすることが強く求められているが、それがなかなかうまくいっていないのが現状だ。

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