マーケティングは常に変わり続けているが、マーケターのスキルはなかなか変わらない――。2016年9月上旬にカナダのVennage社が発表した調査結果をまとめると、こうなるだろう。

 調査結果によると、この5年間でマーケターに求められるスキルは毎年変わってきているという。ところがマーケター自身のスキルはその変化に対応できず、多くのマーケターが持つスキルと転職市場が求めるスキルとの間に乖離が見えているという。

 この傾向は、市場で「飽和状態にあるスキル」と「人材不足なスキル」からも見えてくる。例えば「デジタルマーケティング」や「ソーシャルメディア」など、マーケティング活動の「コアとなるスキル」は、特に中上級職で完全に飽和状態となっている。一方で「データ分析」や「コーディング」などの技術系のスキル、そして「クリエイティブ」なスキルは非常に人材が不足している傾向にある。

 データ分析やコーディングなどのスキルが強く求められる背景には、「ビッグデータ」がある。ビッグデータを分析するためのツールなどを、非常に高度なレベルで扱えることが求められている。

 しかし、そういったスキルを持つマーケターは非常に少ない。求めるスキルとしてデータ分析を挙げる企業が全体の45%であるのに対し、自分の強みとしてデータ分析を挙げているマーケターの割合は、わずか3%でしかない。

 コーディングについても同様だ。コーディングとは、HTMLやCSS(Cascading Style Sheets)、もしくはデータ分析のためのSQL(Structured Query Language)などを使い、コンピュータが処理可能なコードを記述すること。

 ここで、基本的なHTML記述スキルを求めている企業が全体の20%であるのに対して、自分の持つスキルとしてHTML記述スキルを挙げているマーケターは3%となっている。なおCSSのスキルは1.5%でSQLのスキルは0.5%と、ほぼ皆無に近い状態だ。

 もちろん、一つひとつHTMLをコーディングしながらWebサイトを作っていくケースは、CMS(Content Management System)が広く普及している現在、ほとんどないと言っていい。しかしサイト構築・運営では、実際に自分自身で手を動かさないとしても、(制作会社やエージェンシーとのやり取りなどの)作業やワークフローでこういったスキルを求められるケースは決して少なくない。

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