マーケティング業務のあちこちに“デジタル”が深く入り込むようになり、“テクノロジー”は、マーケティングと切っても切れない存在になっている。それに伴って、テクノロジーに関わるスキルは、マーケティング業務を実践する上で不可欠になりつつある。
この傾向はマーケティング担当者だけではなく、企業のマーケティング活動の全てを取り仕切るCMO(最高マーケティング責任者)にも同様に当てはまる。CMOはマーケティング活動の責任を負うだけでなく、マーケティング業務を遂行する上で不可欠なテクノロジーの導入で、そのその選定やコスト負担に関わる意思決定も求められている。
2016年5月に、米DataXu社が米国と英国を中心とした欧米企業のマーケティング部門を対象に実施した調査(公開は2016年7月)によると「マーケティングテクノロジーの導入の最終意思決定者」は「CMO」である回答した企業は全体の22%となった。これは最も高い数字で、「CDO(最高デジタル責任者)」と回答した企業は9%だった。
さらに「CTO(最高技術責任者)」は6%で「IT部門長」が5%。そして「CIO(最高情報責任者)」は4%と非常に少なかった。
調査からは、CMO以外にも最終意思決定者になりえる存在が見えている。例えば欧州によくいる、「CMT(Chief Marketing Technologist=最高マーケティング技術者)」と呼ばれる役職者がその一例だ。さらに、「マーケティング本部長」などの、いわゆるマーケティング領域の上位役職者が意思決定を下しているケースが、少なくとも情報システム系の役職者よりも多くなっていた。
こういった意思決定を間違いなく下す際に、テクノロジーに関わるスキルはさらに重要になるだろう。「マーケティングテクノロジーに対する理解」がマーケティング部門の上位役職者の重要スキルであると回答した企業は、米国で78%となっていた(欧州は63%)。この数値は「クリエイティビティ」の79%とほとんど変わらない。