米デロイト、デューク大、全米マーケティング協会は、毎年2月と8月に共同で「The CMO Survey」を公開している。米国企業のマーケティング活動の方向性やトレンドを定点観測する上で非常に役に立つと評価が高い、同サーベイの最新版が8月下旬に発表された。

 The CMO Surveyは毎回、ソーシャルメディアについてある程度の分量を割いており、企業がどの程度ソーシャルメディアを使っているかをうかがえるものになっている。例えば「マーケティング予算に対するソーシャルメディア関連予算の割合」や「ソーシャルメディアのマーケティング活用の課題や展望」などがまとめられている。ただし、2016年に入ってからそのトーンが若干変わってきているのが気になる。

 以前は、ソーシャルメディアに対する投資額が増額傾向にあるという流れが、ある意味期待感の表れのような形で語られることが多かった。それが2016年に入ってからは、徐々に懐疑的なトーンへと変化している。

 2016年2月に発表したリポートでは、ソーシャルメディア施策によるインパクトが得られず、CMO(最高マーケティング責任者)をはじめとする企業の上層部からの評価が低下しつつあると指摘している(参考記事:「投資は多いが結果は出ない? 企業がソーシャル活用に懐疑的な視線を注ぐ理由」)。

 先週発表のあった最新版でも、懐疑的な論調は変わっていない。むしろソーシャルメディアについては、より厳しく言及されているようだ。

 今回の調査によると、企業のマーケティング予算に対するソーシャルメディア関連予算は11.7%。これは2009年8月の数字(3.5%)に較べて約3倍となっている。だが5年前に予測されていた数字(17.5%)と比べると非常に少ない。

 本レポートでは、当初の予測よりもソーシャルメディアに対して予算が割り当てられなくなった理由を三つ挙げている。一つは「ソーシャルメディアがマーケティングで使われ始めた当初、トレンドに乗り遅れないよう、必要以上に予算を投下しすぎていた傾向にあった」というもの。つまり当時の積極的な予算投下が、一過性のブームであったということを意味している。

 二つめが「企業が積極的にソーシャルメディア施策を行うことに対して、消費者が辟易としている」というもの。企業のソーシャルメディア施策が徐々に消費者から飽きられてきたことによって、当初得られていた効果が得られなくなり、結果として企業も予算を投下しなくなったと考えられている。

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