言うまでもないことだが、企業がオンライン上でマーケティングコミュニケーション活動を展開するに当たって、オンライン広告は必要不可欠な存在である。そして今や、オンライン広告は、「オンライン広告」という言葉でくくるには、あまりにも多様化している。

 バナー広告はもちろんのこと、リスティング広告からソーシャル広告、そして動画広告やネイティブ広告までがある。さらにそのフォーマットやビジネスモデルなどによって、多様なバリエーションが存在する。

 広告主企業と広告代理店は、これらの広告の特性や強みと弱みを把握した上で、どういった広告にどれだけの広告費を投下するかを常に考えている。もし少ない広告費で大きな結果が出せれば、その広告施策は「ROI(Return On Investment=投資利益率)が高かった」と言われる。逆であれば「ROIが低かった」と評価されてしまう。

 広告のROIに関しては、いわゆる4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)を中心としたオフラインメディアよりも、オンライン広告の方が高いとよく言われている。これは実際その通りで、それを裏付ける調査結果も数多く存在する。

 ところが、これまで「高い」と言われていたオンライン広告のROIが、2010年以降の過去6年間で年々低下している。米調査会社Analytic Partners社は、オンライン広告とオフラインメディアに対する広告に、ROIはそれほど差がなくなったことを物語る調査結果を8月1日に発表した。

 調査結果によれば、オンライン広告の中でもROIが低下しているのは動画広告で、「過去6年間で32%下落している」という。続いてペイドサーチ型広告(検索結果に連動して表示されるリスティング広告)が過去6年間で27%の下落、さらにディスプレイ広告が14%の下落という。

 この理由は、オンライン広告に対するコストが年々増大したからと推測できる。例えば、動画広告である程度の効果を出すためには、クオリティの高い動画を制作するコストと、それを配信するためのコストが増大する。ペイドサーチ型広告の場合は、多数の競合社よりも有利な条件で広告を表示させなくてはならず、入札金額が増大する。

 以前ソーシャルメディアは「ローコストで自分たちのメッセージを伝えることができる」というふれこみで活用が盛んになった。それが今では「広告としての活用」が当たり前になっている。

 こういった形で、それぞれのオンライン広告でコストがかさんできた結果、オンライン広告費全体が急激に増加したと、上記の調査は指摘している。特に2015年から2016年に関しては、それが顕著に出ている。

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