コンサルティング会社の米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は毎年、「Digital IQ」と呼ぶ調査を実施・発表している。Digital IQとはPwCが作った造語であり、「組織としてテクノロジーを利活用し、収益を向上させる能力」と定義している。

 PwCは2007年以降毎年、このDigital IQに関する調査をグローバルで展開している。2017年2月に発表した2017年版は、世界53カ国から2000人以上の企業のビジネスリーダーを対象に実施した調査結果をまとめている。

 調査結果によると、「自分たちの会社は高いDigital IQを持っている」と回答した企業は52%だった。ただ、これは逆の見方をすると「約半数の企業は、Digital IQが高くないと考えている」ともいえる。そして「高いDigital IQを持っている」と答えた企業の割合は、2016年の67%、そして2015年の66%と比べて低い数字となっていた。

 この結果は、必ずしも企業の「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)」が鈍っているというわけではなさそうだ。デジタルトランスフォーメーションは、以前よりも「CEO(最高経営責任者)が考えるべき問題」として、きちんと認識されている。

 初めてDigital IQにかかわる調査結果が発表された2007年当時、「CEOがデジタルトランスフォーメーションをリードすべき」と回答した企業は33%でしかなかった。しかし10年を経た2017年の調査では、それが68%にまで伸びてきた。

 つまり今回の結果は、デジタルトランスフォーメーションが「全社的に取り組まねばならないテーマ」として認知され、人材不足がより深刻な形で浮き彫りになったことで、自社へのDigital IQへの評価が辛くなったといえるだろう。マーケティングに限らず、企業におけるあらゆる業務でデジタルが重要になった現在、デジタルをスキルの一つとして持つ人材は何人いても足りない。

 そうした視点は、米人材コンサルティング企業ロバート・ハーフの関連会社であるThe Creative Groupが毎年発表する、マーケティング系の転職市場の最新状況をレポートした「サラリー・ガイド」の結果からも読み取れる。同レポートによると、米国のマーケティング系の転職市場は人材不足の状況が続いており、採用に追い風が吹いているという。

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