消費者の生活に“モバイル”が深く入り込んだことで、企業のマーケティング活動も、モバイル方面に積極的な投資が進むようになった。企業のコミュニケーション設計でモバイル端末が含まれていないケースの方が珍しくなったと言っていいだろう。

 それだけモバイル端末、特にスマートフォンは、企業のマーケティング活動で重要な“顧客接点”として位置付けられている。特に最近はオンラインとオフライン、双方で行われるコミュニケーション活動をつなぐ、ハブの一つとしての役割を期待されているケースも多い。様々なチャネルを駆使してユーザーエクスペリエンス(顧客体験)を高めようとする“オムニチャネル”というキーワードを具現化する役割を担っている。

 実際、位置情報の活用や、店頭端末との連動など、オンラインとオフラインそれぞれの顧客体験をつなぐためのテクノロジーも非常に進化している。モバイルの世界をマーケティング活動の主戦場にしようとしている企業の注目を集めている。

 その一方で、“電話”(通話によるやり取り)も改めて注目され始めている。実は、消費者の生活にモバイルが浸透したことにより、電話による問い合わせが増えている。

 顧客対応電話解析を行う米Invoca社が、2015年に発生した約5800万件の顧客対応電話を分析した調査結果によると、顧客から企業に対する電話による問い合わせの92%は、デジタル上の顧客体験によってもたらされたものだという。その割合は84%だった2014年よりも、さらに高まった形となる。

 電話による問い合わせの直前の顧客接点として多かったのが「スマートフォンによる検索」で、48%と半数近くを占めていた。以下「PCによる検索(17%)」「PCによるディスプレイ広告への接触(11%)」と続いていた。

 つまり、スマートフォンで何かを検索し、気になる情報を見つけ、さらに詳細を確認したくなった時に、電話を使って問い合わせるというパターンだ。スマートフォンなら画面に表示された番号をクリックするだけですぐに電話がかけられるため、消費者の利便性が高いと考えられる。

 オムニチャネルというと、どうしてもデジタル周りの仕組みを整備し、デジタル上での顧客体験を中心に考えてしまいがちになる。もちろんそれも必要なのだが、こういったコミュニケーションを設計するためのハードルは低いとは言えない。ある程度の技術力は求められるし、仕組みを実装するためのコストやリソースも必要だ。

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