2016年ころから、米国のマーケティング業界で“Gen Z”という語が非常に多く使われるようになってきた。この“Gen Z”とは「ジェネレーションZ(Generation Z)」の略で、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代、「ジェネレーションY」とも呼ばれる)の次の世代に当たる。いわば“ポストミレニアル世代”だ。
ジェネレーションZの定義は統計ごとに異なり、若干あやふやとなっているが、主に1995年から2010年ころまでに生まれた新世代を指している。つまり7歳から22歳くらいまでの世代であり、米国では約6700万人がこれに該当する。米国のマーケターたちに“Gen Z”が大きく話題となっている理由は、この世代が社会に出始め、購買力を付けるようになってきたからだ。
ジェネレーションZの購買力は、現時点で既に年間約440億ドル(約5兆円)となっており、決して少なくはない。そしてこの数字は今後、この世代の人間が社会に順次出てくるにつれて、確実に増えていく。
さらに家庭を持つようになれば、経済への影響力はより一層強くなるだろう。例えば、「2022年には米国の45%の親は、ジェネレーションZになる」とも言われているという。
つまり今後は、ジェネレーションZから支持されることが、マーケターの大きなテーマとなる。自分たちのビジネスを維持するためにも、彼らにそっぽを向かれるようなことは避けなくてはならない。
ミレニアル世代の次の世代に当たるジェネレーションZへのコミュニケーションは現状、基本的にミレニアル世代に向けに近しい方法論を採る企業が多いようだ。ただし、ジェネレーションZは「ミレニアル世代以上にミレニアル」だ。
彼らは子どものころからスマートフォンを手にしており、多種多様のアプリケーションから音楽や映像コンテンツに接し、クラウドサービスを使いこなし、ソーシャルメディアでコミュニケーションを取ることを当たり前にしている。そのため、ミレニアル世代と比べてもメディアへの接触の仕方が大きく異なっている。
ジェネレーションZのメディア接触における大きな特徴は二つある。一つは「テキストを読まなくなった」こと。そしてもう一つが「メディア企業が運営しているサイトやアプリを利用しなくなっている」ことだ。
この傾向は、米調査会社eMarketerが公開したデータに表れている。ミレニアル世代(18〜34歳)と“Teen”(13〜17歳)のメディア接触を比較したときに、大きな違いとなって見えたのが「デジタルビデオの視聴」と「ブログの閲覧」と「メディア企業のサイトやアプリ」だった。