英語版Wikipediaに“Social Media”という項目が登場したのが2006年7月9日。今からおよそ10年前のことになる。
以来、ソーシャルメディアは徐々に人々の生活に入り込み、今では企業が消費者とのコミュニケーションを考える際に無視できない“メディア”となっていることは、説明するまでも無いだろう。
実際、そういった状況を改めて裏付けるようなデータを、シンクタンクであるロイター・ジャーナリズム研究所(RISJ)が公開した年次調査「Digital News Report 2016」の中で強調していた。
このリポートは、世界26カ国の約5万人を対象に実施した調査結果をまとめている。これによると、18歳から24歳の世代では「ソーシャルメディアがニュースの主な入手手段である」という回答が全体の28%となっている。特筆すべきは、この値が「テレビがニュースの主な入手手段である」という回答(24%)を初めて上回ったという点だ。
ソーシャルメディア経由でニュースを入手している利用者が、(ニュース目的で)最も多く利用しているSNSは、Facebookが44%と圧倒的な数を見せてている。以下、YouTube(19%)、Twitter(10%)、WhatsApp(8%)と続く。
しかし、本リポートでは「アジアでは異なる傾向を見せている」とも併記している。日本と韓国について「ニュースを得るために使われるSNS」を、よく使われる順に並べている。これによると日本の場合、ニュースを得るために最もよく使われるSNSはYouTubeで26%だった。そしてFacebook(16%)、Twitter(16%)、LINE(13%)と続く。
ソーシャルメディア経由でニュースを得る利用者の増加は、ニュースを得るために使うインターネット端末が、パソコンからスマートフォンやタブレットにシフトしているという背景もある。
特に2013年以降にこの傾向が顕著になっている。欧州を中心に、スマートフォン経由でニュースを得る利用者が約60%となるなど、非常に高い数字となっている(米国や日本は約50%程度)。
その結果、目立ってきたのが「アドブロック」だ。アドブロックとは、ブラウザの拡張機能を使ってウェブサイト訪問時に「望まない項目」が読み込まれることを意図的にブロックする行為。特に欧州を中心に急速に拡がりを見せており、35歳以下のユーザーの利用率が軒並み20%を超え始めている(ただし日本と韓国の利用率は低く、韓国が12%、日本が10%となっている)。
この事実はメディアビジネスにとって、あまり良くない傾向であるとRISJは指摘する。ソーシャルメディアのニュースに、直接的に金銭を支払うユーザーが減少傾向となるだけではない。アドブロックによって、広告収入の減少まで引き起こしているという理由がある。