デジタル施策に関わる総合サービスを提供し、企業のデジタルマーケティング戦略に携わることの多いデジタルエージェンシー。その最新状況からは、デジタルマーケティングのトレンドや課題が浮かび上がる。

 2015年末、米Kentico社と調査会社Millward Brown社は、欧米のデジタルエージェンシーを対象に実施した調査結果を「Digital Agencies 2016」と呼ぶリポートにまとめている。これを見る限り、デジタルマーケティングを取り巻くヒト、モノ、カネの流れは、今後も活発といえそうだ。

 少なくとも業界平均よりも業績が良い(と自己評価をしている)デジタルエージェンシーの90%は、今後も積極的に人材を採用すると回答している。さらに70%のデジタルエージェンシーは、ツールやソフトウエアの導入に、積極的な投資を惜しまないと回答している。

 こういった数字を見ていると、企業のデジタルマーケティングは、これからも概ねポジティブな材料ばかりに思える。しかし、一方で根強い課題も残っている。

 今回の調査でデジタルエージェンシーが挙げる課題として非常に多かったのが「クライアントのデジタルマーケティングに対する理解が低い」「クライアントからローコストでたくさんの業務を要求される」(いずれも78%)というものだった。さらに「クライアントはデジタルマーケティングに関するツールを数多く導入しているが、これらを使いこなせていない(もしくは使っていない)」という回答が73%と、非常に高い数字となっている。

 そういった状況が反映されているのか、デジタルエージェンシーが提供しているサービスに関する調査結果からは、クライアント側の準備遅れを感じさせる状況が透けて見える。

 例えばWebサイト構築やWeb分析、そしてEメールやソーシャルメディアを利用したコミュニケーションは、非常に多く提供されている。しかし「オンラインコンテンツのパーソナライゼーション」や「モバイルに特化したマーケティング」、そして「マーケティングオートメーション」といった、デジタルマーケティングの世界で非常にホットなサービスを提供しているエージェンシーは決して多くはない。

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