企業のマーケティング、特にコミュニケーション活動に、デジタルが幅広くかつ深く入り込むようになった。この影響を最も強く受けているのが広報(PR)部門だろう。

 広報に携わる人のおよそ半数は、「今後5年で広報は、よりマーケティング活動に沿った動きになるだろう」と回答した――。2017年1月から2月にかけて、南カリフォルニア大学および全米広告主協会が共同で実施した調査から、こんな結果が明らかになった。

 同様の質問には、マーケティング担当者の回答でも「今後5年で広報は、よりマーケティング活動に沿った動きになる」が支持を集め、60%以上と高い数字となった。ただしそれは「PRがマーケティングに吸収される」、つまりPRがマーケティング業務の一部分となってしまうのではないかという考えに近い。

 もちろんそういった大きな変化が、今すぐに目立った形で起こる可能性は高くないだろう。それでも上記の調査からは、18%の企業ではコーポレートコミュニケーションを担当する組織がマーケティング部門の下に置かれていたり、21%の広報代理店がマーケティング部門と協業していたりするという現状が明らかになった。変化は着実に起こっているのだ。

 広報部門も、この変化を認識している。調査で「5年後に、現在使っている“広報”という言葉では、自分たちの業務を説明できなくなっているだろう」と回答した企業の広報部門が87%にも上った事実はその表れだ。

 そして、そのためにどうすべきかということも広報部門は十分に考えている。これから特に重要になってくるトレンドとして「デジタル ストーリーテリング」や「ソーシャル リスニング」といったものが80%以上の支持を集めたことからうかがい知れる。

 確かに広報を取り巻く流れが変わろうとしており、それに対応していくためにどういったものが必要なのかを現場では認識している。しかしここには「スキルのある人材の不足」という、非常に大きな課題が存在している。

 この課題が顕在化した理由として考えられるのが「求められるスキルセットが大きく変化した」という意識の高まりだ。本調査は、これまで継続的に実施されてきたが、今回の調査で初めて「重要とされるスキル」として「戦略プランニング(89%)」がトップに浮上した。

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