恐らくほとんどの企業でメールは、Webサイトと併せて、主要な顧客接点の一つとして位置付けられているに違いない。ただし古くから活用されてはいるものの、その効果は過小評価をされ続けている。

 特に、ソーシャルメディアが非常に注目を集めていた頃に、その傾向が顕著だった。ソーシャルメディアが「メールに取って代わるもの」と考えられた例が少なくなく、メールに関わるマーケティング予算を削減されたこともあった。

 ただこの1~2年で、メールの位置付けと効果が再考されつつある。背景にあるのが、多くのマーケターの関心の対象が、マーケティングオートメーション(MA)に移っていったこと。ソーシャルメディアよりもMAと連携が取りやすいメールが評価された格好だ。とはいえ、まだまだ課題は多い。裏を返せば、多くの伸びしろが存在しているという言い方もできる。

 この分野の動向について、米国の第三者調査機関であるEconsultancy社が毎年、欧米企業を対象に実施した調査結果をもとに発表している「Email Marketing Industry Census」というリポートの2017年版(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)からも見て取ることができる。

 本リポートでは、メールは少なくとも企業の売り上げの約20%に貢献していると指摘している。その一方で、企業のeメール活用のアプローチは、2008年頃と比べてそれほど大きな変化は見えていない。

 唯一タブレットやスマートフォンといった“モバイルへの対応”(例えばメールテンプレートをレスポンシブデザインにするなど)が加わった。それ以外で企業は、配信リストを最新の状態に保ち、基本的なセグメンテーションに向けてメールを配信するというアプローチを相も変わらず続けている。

 企業の担当者はそこに、全く課題を感じていないわけではないようだ。より高度なセグメンテーションや、他の顧客接点で発生した行動をきっかけとしたメール配信、そして顧客に合わせたメールのパーソナライゼーションなど、メールを使った高度な施策を実施したいと考えているという。

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