2016年3月米eMarketer社は、2016年のインターネット広告への支出予測額を米国の広告市場に関するリポートの中で公開した。リポートでは同支出が、対前年比15.4%増の688億2000万ドル(約7兆4000億円)に達すると予測している。これはメディア広告全体に対する支出額の35.8%を占め、テレビとほぼ同程度の規模(36.8%)になるという。

 2016年の米国のテレビ広告は、米大統領選挙とリオデジャネイロ五輪によって市場全体が活況を呈すると見られている。ただし、その後の成長は大きく陰ると予測されている。

 これに対して、インターネット広告に対する支出額は、2017年にテレビのそれを追い抜くと予測されている。2020年にはメディア広告全体の45%近くを占めるのではないかという見方もある。

 この伸びをけん引しているのがモバイル広告、そして「ディスプレイ広告」だといっていいだろう。2015年にモバイル広告費はデスクトップ(PC)広告費を初めて追い抜いていた。またディスプレイ広告費も、それまで最も大きな割合を占めていた検索広告費を2016年内に追い抜くと予測されている。

 本レポートでいうディスプレイ広告は、いわゆるバナー広告だけでなく、一見すると広告に見えないフォーマットを持つ「ネイティブ広告」や動画を使う「動画広告」なども含んでいる。そしてこの分野の成長は、これからも急速に進むと言われている(関連記事:ほとんどの消費者は「広告を認識できない」?、ネイティブ広告への拘束が強まる気配)。

 特に、モバイル方面で非常に顕著な動きが指摘されている。米調査会社IHSが3月に発表したリポートでは、モバイル広告の成長を予測している。

 このレポートでは、2020年までにディスプレイ広告費の75%以上がモバイルによるものとなり、その額は845億ドル(約9兆1400億円)と予測する。そのうちネイティブ広告の伸びが非常に大きいとしており、2020年の市場規模はモバイルディスプレイ広告市場全体の60%を超え、534億ドル(約5兆7700億円)に達すると見ている。

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