多くの企業がデジタルマーケティングを積極的に推進しているなか、紙(媒体)によるコミュニケーションのパフォーマンスは、以前に比べて大きく下がってきている。比較的高い年齢層に向けてのコミュニケーションならまだしも、マーケティング活動がターゲットとする顧客の年齢層が低くなるほど、紙を使う優先順位や重要度も下がっているはずだ。
この傾向は米国のマーケティング現場で同様だ。特に多くの企業がターゲットとしている「ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)」に対するコミュニケーションは、デジタルが中心なのはもはや当たり前。紙を使うこと自体がナンセンスだと考えられることも少なくない。
しかし先日、米Quad Graphics社が発表した調査結果から、紙によるコミュニケーションはデジタルだけではなく、ミレニアル世代の購買行動に少なからぬ影響を及ぼしていることが読み取れる。「カタログ」や「クーポン」といった、既にデジタルにシフトしているものの使い方を見てもよくわかる。
例えば「カタログ」。「自分が買い物をする際、郵送されてくる紙のカタログも情報源として活用している」と回答したミレニアル世代が半数を超えた(54%)。「商品の価格などの情報を比較検討する際、折り込みチラシも活用している」とした回答は72%に上っている。
「クーポン」についても同様だ。米国の消費者は、商品購買の際に非常に頻繁にクーポンを使うが、今回の調査ではクーポンを使用するミレニアル世代の約半数は「紙のクーポン」を使っているという結果が出た。これは雑誌やカタログ、または折り込みチラシから切り取る形で利用する、以前から非常によく使われているクーポンだ。
スマートフォンをはじめとするモバイル端末が急速に普及し、クーポンは特にO2O(Online to Offline=オンライン上の施策から実店舗などのオフラインでの行動へと促す方法や施策)の手段となって、デジタルへ大きくシフトしている。ただし、いまだに紙のクーポンも使われている現状も明らかになった。