先日「2020年にはEC利用者の55%がスマートフォンを利用して購買活動をする」との予測を紹介し、今後のECサイトは戦略の中心をモバイルにシフトしなくてはならないと述べた(参考記事:「2017年にスマホ経由の購入が半数突破、ECサイトのモバイル対応は必須条件に」)。実はこの指摘はECサイトに限った話ではない。
モバイルのインパクトは、ECだけではなく実店舗での購買活動にも如実に現れている。先月、米Deloitte Digitalが発表した「Navigating The New Digital Divide」というレポートは、その傾向を強調していた。
このレポートでは、合わせて9カ国で実施した調査結果をまとめている。具体的には、「成熟市場」に位置づけた米国、カナダ、オーストラリア、ドイツ、オランダ、英国の6カ国と、「新興市場」としたメキシコ、中国、インドの3カ国である。
まず気付くのが、成熟市場6カ国に対して、新興市場3カ国のデジタルの影響力が非常に強いという点だ。新興3カ国は、実店舗での購買活動に際し、「デジタル(モバイルだけとは限らない)」の影響を強く受ける消費者が全体の約60%を占めている。一方で、成熟市場の国々では、実店舗の購買活動にデジタル影響が強いと感じる消費者は、米国が最も多く49%いる。カナダ(41%)、オーストラリア(40%)がそれに続いたが、欧米の3ヵ国は30%程度と、米加豪の3カ国よりも若干低くなっている。
さらに「モバイル」の影響力は米国と新興市場3カ国が特に強く、約30%となっている。英国は「デジタル」そして「モバイル」ともに、調査対象の9カ国の中で、最も影響力が低くなっている。ただし、全人口に対するEC利用者の割合は欧米諸国の中では最も高く(2014年時点で65.5%)、国内小売業の売上高に対するEC売上が占める割合も最も高い(2015年時点で15.2%)。