英語圏では“Marketing”と“Technology”を組み合わせた造語である「MarTech(高速かつ効果的なビジネス展開を目的に、企業がマーケティング活動にデジタル技術を取り入れること)」は珍しいものではなくなってきた。その動向は、英Squiz社が2017年2月に発表した「State of Marketing Technology 2017」と題されたリポート(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)にも顕著に表れている。

 本リポートは、英国や米国、オーストラリアのグローバル企業のマーケティング上級職を対象に、MarTechについて調査した結果をまとめている。これによれば、過去1年で64%の企業が、新規もしくは拡張という形で大掛かりにMarTechに投資している。

 企業がMarTechに積極的に投資している主な理由は、「深い顧客理解のため(62%)」であるという。そして「マーケティングプロセスの自動化、業務の効率化のため(57%)」、さらに「データに基づいたマーケティングアプローチのため(55%)」と続く。そして回答した企業の約半数が、何らかの形で「MarTechによって競合他社よりも有利に立てている」と回答していた。

 だが一方で、課題も決して少なくはない。これら企業が現在直面している課題として最も多く挙がったのが「業務の煩雑化(41%)」であり、以下「複雑化したカスタマージャーニーを理解するのが困難(25%)」、「投資対効果の可視化が困難(14%)」と続くという。つまりMarTechに対して積極的に投資してはいるものの、その投資の大きな目的である顧客理解や業務効率化がなかなか実現できていないことを意味している。

 MarTechへの投資が結果につながらない背景には「経営幹部レベルでの連携が密な形になっていない」という問題がある。特にCEO(最高経営責任者)とCMO(最高マーケティング責任者)の間で密な連携ができているケースは少なく、本リポートでも27%しか連携できていないという。

 トップとマーケティング部門の連携が強固になっていないため、マーケティング活動が全社的な“経営ごと”にならないという状況も生まれている。それはマーケティング部門のゴールやKPI(重要業績評価指標)が他の経営幹部のゴールやKPIに、きちんと沿っているかという問いへの答えからも垣間見える。「きちんと沿っている」と回答した企業は、全体の半分程度にとどまっていたのだ。

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