米国で、ECサイトのモバイル対応が、“やっておいた方がいいもの”から“やらないと困るもの”へといよいよ変わってきた。米eMarketer社の調査によると、2017年には少なくとも1回はスマートフォンから購入行動をする14歳以上の消費者が、EC利用者全体の半数を上回る9500万人を超えるという。この数は今後も増え続け、2020年にはEC利用者の55%に当たる約1億1000万人がスマートフォンを利用して購入すると予測している。

 2017年は「mコマース」(mはモバイル)にとって、象徴的な年になると言われている。約755億ドル(約8兆6000億円)に達するとされるmコマース全体の売り上げのうち、スマートフォン経由によるものが50%に達するというのだ。

 既にトランザクション(取り引き)数ではタブレットをスマートフォンが上回る状況が続いている。そして2017年を境に、売上高でもスマートフォンがタブレットを上回るようになると予測されている。mコマースの中心となる端末が、タブレットからスマートフォンに完全に入れ替わることを意味している。

 これまでも消費者は購入行動の中で、スマートフォンを積極的に活用している。ただしそれらはあくまで、価格やスペックなど商品の詳細情報を調べるために使うことが多かった。

 米Criteo社の調査によると、2015年の第4四半期に「クロス・デバイス・トランザクション」(商品の比較検討から購入に至るまでのプロセス)で、PCやスマートフォンといった複数の端末をまたいでいたものは、EC全体のトランザクション全体の約40%だったという。実際に、購入行動そのものがスマートフォンで行われているケースは少なく、最終的な“購入”行為は、PCを経ることが多い。その割合はPCが約70%であるのに対して、モバイルは約30%となっている。

 しかし前述のeMarketer社の調査は、こういった状況があと1年程度で大きく変わると指摘している。その理由はスマートフォンのスクリーンサイズの大型化と、スマートフォンに対応して最適化するECサイトの急増がある。

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