米国のモバイル広告市場規模が急速な成長を見せている。
米eMarketerによると、2015年の米国のデジタル広告市場は約580億ドル(約6兆8000億円)。うちモバイル広告が約300億ドル(3兆5000億円)と、過半数(52.4%)を占めるようになった。
2014年時点でのモバイル広告の割合が38.5%だったことを考えると、急速な成長を遂げたといえるだろう。この成長は、今後も続く見通し。2年後には、モバイル広告はインターネット広告市場の約70%を占めるまでに成長すると予測されている。
ところがそのモバイル広告だが、ひょっとしたらその広告効果の多くは“間違ったもの”なのかもしれないと思わせるような調査結果を、米Retale社が発表した。この調査結果によると、モバイル端末が表示するバナー広告の60%は“間違って”クリックされているらしい。
間違ってクリックされる理由の多くは「ディスプレイが小さくて、うっかりタッチしてしまった」、もしくは「指が滑った」というもの。いずれにせよ、意図されたアクションとは言い難い。
一方、「宣伝されている企業や製品、サービスなどに興味がある」という理由で広告をクリックしている割合わずか16%程度でしかない。「広告が面白そうだから」という理由によるクリックも13%にとどまっている。
実は、こういったケースは以前から指摘されてきた。英語では「fat finger problem」という言葉があるほどで、(ディスプレイの広さに対して)指が太いがゆえに起こる問題だと認識されているのだ。
このfat finger problemは、実は思いのほか深刻なインパクトをもたらしかねない。なぜなら、うっかり広告をクリックしてしまうことによって消費者が抱く感情は、「腹が立つ(68%)」、「イライラする(45%)」、「怒る(22%)」と、非常にネガティブなものが上位を占めているからだ。