“マーケティングのデジタル化”が進み、企業のマーケティング活動のあらゆるプロセスはデータ化され、分析の対象となった。企業のマーケティング活動は、データなくしては機能しなくなっており、もはや“データドリブン”という言葉から、目新しさをあまり感じられなくなりつつある。
2017年1月30日にインタラクティブ広告の業界団体である米IAB(The Interactive Advertising Bureau)が「The Outlook for Data 2017」というリポートを発表した。これを読む限り、そのデータドリブンなマーケティング活動が、企業で機能している状況にあるとは言いづらい印象を受ける。
例えば「自分たちが実践しようとしているデータドリブンなマーケティングプログラムで、1年後課題になりそうなこと」という質問について。最も多かった回答が「ROI(Return On Investment = 投資対効果)の証明の難しさ」で、45%を集めていた。前年の調査結果(26%)と比較すると、非常に大きな差となっている。
そのほかに回答を多く集めたのが「社内での知見不足(45%)」、「サイロ化した組織による部門間のデータ共有の難しさ(36%)」だった。ある意味、これらの課題が「ROIの証明」を難しくしているといえる。
社内にあるデータを見極め、適切なアクションを取る人材が不足していると、データドリブンなマーケティング活動のパフォーマンスをうまく上げられない。これはもちろんとして、それよりも深刻なのは、部門間でデータを共有できていないという点だ。
マーケティング活動が大掛かりになるほど、単独の部門だけでその活動全てを執り行うのは難しくなる。営業部門や販促部門、あるいはサポート部門といった、複数の部門が関与することが当たり前となる。
複数部門が連携してデータドリブンなマーケティング活動を進めていく上で、大前提となる考え方がある。それは関与する部門全てが同じデータを同じ定義で、同じように解釈することだ。
例えば「見込み客からの売り上げを向上させる」ことを目的とした施策の場合に、異なるデータを異なる定義で解釈してしまうと、部門間で“見込み客”の定義が異なる結果を招いてしまう。これでは「ROIの証明」は不可能だ。