デジタルマーケティング、ひいては“マーケティングのデジタル化”を語る際に、CMO(Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者)について言及されることが多くなってきた。これまでデジタル化にかかわる議論で主に登場していたのはCIO(Chief Information Officer=最高情報責任者)だった。しかし今やその役割は、CMOに移ってきた印象がある。

 米国のCMO CouncilとDeloitteが毎年定期的に実施している調査でもその傾向が見えている。米国企業がCMOに求める役割は、この10年で大きく変化している(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)。

 2006年の調査結果を見ると、当時のCMOが強く求められていたのは「マーケティングプランおよび戦略の遂行」や、「ブランドの管理」といったものだった。それが10年後の2016年になると、CMOに求められるのは「ビジネスの推進役」や「企業変革のキーパーソン」、そして「顧客体験の責任者」であることとなっている。

 そして何よりも、CMOが最も責任を負わなければならないのは「(企業の)成長戦略の実行」と「利益確保」であるという。社内で誰よりも利益の追求を求められており、そのために必要な企業変革を組織の先頭に立って推進できる人物が、今の時代の理想的なCMOだといえるだろう。

 もちろん、その変革の過程で“マーケティングのデジタル化”が欠かせない要素となっている。米Conductor社が実施した調査によれば、米国企業の約30%が10以上のマーケティングツールを使用しているという(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)。

 その中でCMOが、自分たちの責任、つまり企業の成長戦略の実行と利益確保のために重要視しているのが、マーケティングキャンペーンに最適に投資するための「データの有効活用」と、「デジタルによる新しい広告や、顧客とのエンゲージメント構築手法の採用」である。これらはともに40%を超えている。“マーケティングのデジタル化”を語る際に、CMOが頻繁に登場するようになってきたのは、こうした背景がある。

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