マーケティング業務を遂行する上で、派生する様々な業務を代行してくれるマーケティングエージェンシー(エージェンシー)は、必要不可欠な存在といえるだろう。ある程度規模の大きいマーケティング活動を展開するならば、リソース面も含めどうしてもエージェンシーの力を借りることになる。

 マーケティングエージェンシーを使う側の企業はエージェンシーたちを選ぶ際に、どういったところを見ているのだろう。2018年1月に米VENNLI社が発表したデータからその一端が見える(編集部注:データの閲覧には個人情報の登録が必要)。このデータから見えてきたのは、企業がエージェンシーをビジネスパートナーとして選ぶ際に重視している部分を、エージェンシー自身が十分に理解していないということだ。

 企業がエージェンシーを選ぶ際に重視する要素には、例えば「クリエイティビティや独創的な戦略を開発する力」や「業界に特化した知見や経験」などがある。これらはエージェンシーが企業と協業するために最低限必要な要素であり、エージェンシー側もこれらが非常に重要であると認識している。

 だが、例えば「コストに対する価値」といった部分では反応が分かれる。データによると、「企業のほぼ半数(42%)が重視しているのに対し、それを認識しているエージェンシーは13%と非常に少ない」という。一方で約3分の1のエージェンシーが「業界内での知名度と地位」を重視しているのに対し、広告主企業は15%しかないとも指摘している。

 特に企業が重視している「コストに対する価値」について、これを「きちんと出せている」と企業が感じるのは「一次資料による調査をきちんと実行しているか」という視点が大きい。ここが約70%の回答を集めたという。さらに企業はエージェンシーがこういった一次資料を使って、「どれだけ市場の動きや競合企業、そして消費者の購買行動などを分析できているか」も併せて重視している。

 マーケティングではここ最近、「データドリブン」という言葉が、非常に多くの局面で使われるようになった。企業はたくさんのデータを集め、分析し、短時間で的確なアウトプットを生成することを当たり前に考えるようになった。しかもツールやテクノロジーの進化に伴って、これらの作業を少人数で内製化することも可能になっている。

 こういった状況下でエージェンシーが「データドリブン」に対応できていないとしたら、それは企業から相手にされなくなる危険が高いといえるだろう。もちろんクリエイティブな面や独創性をもって勝負することも必要だ。しかしそれだけではもう不十分であり、常に多くのデータに目を向け、それらを自らの手で分析し、いつでも気の利いたアウトプットを出せる環境を整備しなくてはならないだろう。

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