英語版Wikipediaに「Social media」という項目が登場したのが、今からちょうど10年前、2006年のことだった。そのもっと前から、人はブログなどを使ってインターネット上に、様々な情報を残してきた。

 その情報の中には、意図しているものと意図していないものを含め、発信者個人の情報が少なからず紛れ込んでいる。これらの情報を広く収集し、組み合わせることで、発信者個人のプライバシーは、ガラス張りとも言えるほどに明らかにされてしまう。この事実はソーシャルメディアを含めインターネットに情報を発信するにあたり、常識として知っておくべきことだ。

 米国では、例えば人材の採用に当たって、事前に候補者のソーシャルメディア上の情報を確認するケースが、ここ数年増えている。これは2016年年明け早々にSociety for Human Resource Management(全米人材マネジメント協会)が発表した調査結果によって明らかになった。米国企業の43%は、候補者の選考に当たって「ソーシャルメディアをはじめとしたインターネット上の(候補者に関する)情報を検索し、それらを参考にしたことがある」と回答したのだ。この数値は2年前に比べてほぼ倍増している。

 企業がソーシャルメディアをはじめとした、候補者のインターネット上における情報を収集し、吟味している目的はなんだろう。調査結果からは、「(履歴書や職務経歴書に記されている)候補者の経歴や実績を確認するため」という答えが最も多かったという。経歴詐称や実績の誇張が無いかを複数のオンライン上の情報によって確認することで、その信ぴょう性を見極めようとしている。

 さらに36%の企業は、これらの情報を吟味した結果としてその候補者の採用を見送ったと回答している。その理由は、「経歴詐称」や「実績の誇張」だけではなく、例えば「候補者が法を犯すようなリスクが確認された」といったものや「年齢・人種・性別・宗教に関する差別的発言が見られた」ものが比較的多かった。それどころか「SNS上に候補者の情報が全く存在しなかった」という理由で採用を見送ったケースも少なからず見られた。

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