消費者が日常的に扱うデバイスと接触するメディアが増加したことに伴い、企業のマーケティング活動がこれまでになく複雑になっている。

 以前は「オンライン上の顧客接点」といえば、企業のWebサイトと企業が発信するEメールを“PCで閲覧する”という前提に基づいて、顧客をセグメンテーション(不特定多数の人々を共通する属性を持つ集団に分けること)し、それぞれに合ったコンテンツを提供するというやり方だった。しかしこの手法には現在、いろいろなところに綻びが見えている。

 企業が運営管理するWebサイトの数は大幅に増加し、広告を掲載する媒体が増えて広告枠のバリエーションも拡がった。さらにTwitterやFacebookといったソーシャルメディアが重要な顧客接点として確立されてきた。しかも、もはや“ソーシャルメディア”とひとくくりにするのが難しくなるほど、その種類は多様化している。

 それに比例する形で、メディアを介して企業が集められるデータも膨大なものとなった。そのデータを企業は消費者を深く理解するために活用する。顧客セグメンテーションは細分化され、消費者一人ひとりに“求められる内容”のコンテンツを、適切な手段を使って最適なタイミングで提供する、いわゆる「パーソナライゼーション」が強く求められるようになった。

 この事実は2015年秋に、欧州SAP社と米調査会社フォレスター・リサーチが発表した調査からもうかがい知ることができる。同調査では、少なくとも90%以上の企業が「次年度はパーソナライゼーションによる顧客体験の向上を重要なアクションと考えている」と回答していた。

 しかし、そのための道のりは長いようだ。調査結果によれば、実際に消費者の求める情報が何かをリアルタイムに把握し、的確なコンテンツを提供する仕組みを持っている企業は全体の20%にも満たなかった(16%)。そして多くの企業は、平均すると11個の、バラバラに管理された顧客接点を、互いに連携が取れない状態で運営し続けている。

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