この1~2年、「モバイルの普及によって、消費者の購買行動は大きく変わった」といわれている。米国では、2016年の小売業界全体の売り上げに占めるモバイル経由の売り上げの割合は、まだ1%程度のようだ。ただし“何らかの形でモバイルが影響した売り上げ”でみるとその割合は30%を超えるといわれている。

 では米国以外の国では、どうなのだろうか。その現状を俯瞰できるリポートを、2016年10月に米xADと米ミルウォード・ブラウンが発表した(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)。

 同リポートでは、米国、英国、ドイツ、中国、そして日本の5カ国の消費者が、購買活動に当たってスマートフォンをどう活用しているかを調査し、その結果をまとめている。これを見ると、どの国も消費者の購買行動にモバイルが強く影響を及ぼしていることが分かる。日本の消費者も同様だが、他国の消費者と比べて非常に特徴的な傾向があることも見えた。

 それは「日本人が購買行動でスマートフォンを最も使うのは、商品情報の検索ではなく店舗検索」であるということ。そして「店舗を検索している時点で、購買の意思決定はほぼ済んでいる」というものだ。

 日本以外の消費者の購買行動を見ると、多くはスマートフォン(またはPC)で商品情報を調べ、その後で店舗に行き、現物を確認し、最終的に購買の意思を決定するという流れが多い。これは、情報収集活動の後で、店舗に足を運んだ消費者の割合からもうかがい知ることができる。

 米国の場合、商品情報を調べた後に店舗に足を運んだ割合は67%となっている。この67%全てが店頭で買い物をしたわけではもちろんなく、多くは“店頭でのさらなる情報収集”を目的としている。そして実際に店頭で、他店と価格比較やモバイルクーポンの利用など、さらにスマートフォンを使った購買行動をしていることが多い。

 日本の数字を見ると、商品情報を調べた後に店舗に足を運ぶ消費者の割合は45%で、米国と比較すると低い数字となっている。ただし日本が非常に特徴的なのは「購入の意思決定に際したモバイルの使われ方」で、最も目立った回答が「近くの店舗を探す」というものだった。

 この数値は約40%に上っており、米国(およびその他の国)と比較しても非常に高い。つまり事前に商品情報を入念に調べ、購買の意思決定がある程度できた上で、近くの店舗を探して買いに行くというパターンになる。

 このような、店舗に行く前に“入念に調べる”というのも、日本人の消費者の特徴的な行動だ。他国の消費者の傾向を見ると、スマートフォンを利用し製品やサービスの詳細を調べる消費者は、購入することに強い意欲を示しているようで、70%以上(中国は80%以上)が「1日以内に購入する」と回答している。

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