図5●2015年度のIT投資額は、2014年度に比べて、どの程度増減しそうですか?(N=226)
図5●2015年度のIT投資額は、2014年度に比べて、どの程度増減しそうですか?(N=226)
IT投資を増やす企業は1年前より微増

 「2015年度のIT投資額は2014年度に比べてどの程度増減しそうですか」。CIO調査の定番であるこの質問。前回調査では「IT投資を増やす」とした企業の割合が、前々回より14.4ポイント減り、「減らす」とした割合が6.3ポイント増加。消費増税による景気の冷え込みなどが懸念されるなか、積極的なIT投資に二の足を踏む企業が多かった。

 今回調査では、「IT投資を増やす」とした企業の割合は、前回より2.1ポイント増え、「減らす」とした割合は2.5ポイント減った(図5)。大きな変化ではないが、IT投資意欲は若干回復しているといえそうだ。

 IT投資を増額した企業91社に、その理由を聞いたところ、最も多かったのは「既存システムの再構築」で64.8%に上った(図6)。

図6●IT投資を増額した理由は?(N=91、複数回答)
図6●IT投資を増額した理由は?(N=91、複数回答)
セキュリティー強化や法規制対応が後押し
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セキュリティー対策に本腰

 特徴的なのは「セキュリティーやリスク管理の強化」を挙げた割合が前年より3.7ポイント、「法律・規制などの強化によりITの対応が必要に」は同10.3ポイント増えている点。ベネッセの個人情報流出事件などで、セキュリティー事故が企業に与えるダメージの大きさが明らかとなるなか、セキュリティーの予算を確保し、組織的に対策を講じていこうとする企業が増えていることをうかがわせる。法律規制については、前述したマイナンバー制度が強く影響しているといえるだろう。

 一方、前回調査では54.4%が挙げた「IT関連の新技術・新製品の積極的な導入」は、38.5%にとどまり、15ポイント以上下げた。「ビッグデータ」や「スマートデバイス」といった新しいコンセプトやツールがある程度普及した影響だろう。

 グラフには示していないが、「IT投資を減額した理由」として「全社的な売上高や利益の減少」を挙げた企業が54.3%、「投資案件の一巡」が39.1%となった。懐もあまり温かくないなか、「やらなくてはいけないこと」が一段落して投資を引き締める企業が少なくない。

 「新規技術導入がITコスト削減に寄与」「利用度の低いシステムの廃棄」といった前向きな投資減額要因を挙げた割合はいずれも13.0%にとどまった。

新規開発にしわ寄せ

 「ITで解決したい中期経営課題は?」という設問では、前回と一部選択肢を変更。今回新設した「業務の抜本的な効率改善」が、毎回1位の「営業力の強化」を上回った(図7)。

図7●ITで解決したい中期経営課題は?(N=236、複数回答)
図7●ITで解決したい中期経営課題は?(N=236、複数回答)
効率改善が営業力強化を上回る
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 ITをベースにした「新規事業の創造」や「デジタル化によるビジネスモデルの刷新」を志向する企業が多いと言われるが、今回の調査ではいずれも上位になかった。

 一方で「社内コミュニケーションの活性化・ノウハウの共有」は増加しており、タブレットやスマートフォンに加え、ウエアラブル端末などを使ったコミュニケーション改革に期待を寄せる企業も多そうだ。ただし、在宅勤務やモバイルワークの導入など「ワークスタイルの変革」を重視する企業は少なかった。

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