2015年6月中旬。人口16万人の長野県上田市が揺れていた。庁内LANのPCが標的型攻撃ウイルスに感染。インターネット接続の遮断や、住基ネットからの一時離脱を強いられた。マイナンバー制度施行を前に、地方自治体はセキュリティ対策に頭を悩ませている。
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マイナンバー前夜、自治体を襲うサイバー攻撃
目次
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[3]マイナンバー施行まで1カ月、サイバー攻撃対策の決め手は見えず
総務省は、日本年金機構や長野県上田市など公的機関で相次いだサイバー攻撃事件を受け、「自治体情報セキュリティ対策検討チーム」を立ち上げた。チームの構成員には、サイバー攻撃によって住基ネット遮断に追い込まれた上田市の情報システム担当者も名を連ねる。被害を受けた当事者の声を対策に反映する狙いがある。
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[2]上田市は氷山の一角、限られた予算で迫られる対応
長野県上田市の庁内LANへの標的型攻撃では、「Emdivi(エムディビ)」と呼ばれる遠隔操作ウイルスを糸口に、様々な“犯行”がなされていた。最も痛手だったのが、ユーザー情報を管理するディレクトリサーバー(Active Directory)に侵入が及んだことだ。
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[1]長野県上田市を襲った標的型攻撃メール、住基ネット強制遮断の憂き目に
2015年6月12日夜。長野県の上田市役所に1通のメールが届いた。「市役所庁内のPCがウイルスに感染し、外部への不審な通信が発生しているようだ。大至急調べてほしい」。受信した上田市の情報システム担当者は、「メールを一読しただけでは、内容をいまいち理解できなかった」と率直に話す。メールの発信元はJP…