今回は、クラウドサービスのコストについてお話ししたいと思います。
「クラウドサービスに移行してコストを削減する」という話を聞いたことがあるかもしれません。自社で運用しているサーバーや、そこで稼働しているアプリケーションをクラウドに移行してコストを削れるなら即座に移行すべきですが、この話は本当なのでしょうか?
答えは「本当のことも、嘘のこともある」。クラウドサービスに移行することでコスト削減になるケースも、ならないケースもあるのです。今回は、そのコスト計算について説明します。なお試算額は11月2日時点のもので、変更になる可能性があることをご了承ください。
アプリのサービスは、少数ならクラウドが安い
コスト削減になりやすい例として、アプリケーション系のクラウドサービスが挙げられます。SFA(Sales Force Automation/営業支援システム)やグループウエアが使えるサービスです。アプリケーションがインストール済みで利用可能になっていますので、サーバーもアプリケーションも購入せずに済むからです。
ただしアプリケーション系のクラウドサービスでも、ユーザー数によっては自前でサーバーを構築する方が安上がりになることがあります。あるセキュリティ管理のクラウドサービスは、1ユーザーあたりの月額料金が約1200円です。100ユーザーだと月額約12万円になります。一方、100ユーザーで使える製品版と、それをインストールするサーバーを自前で用意することにして(これをオンプレミスといいます)、これを購入すると約250万円です。5年リースで、月額は約4万7000円(料率1.87%の場合)程度です。クラウドの方が高くつきます。
なぜこうした差が付くかというと、クラウドサービスのユーザー単価が高いからです。多くのクラウドサービスは、ユーザーが一定数を超えると、それ以降は数が増えるごとにユーザー単価が安くなっていきます。先ほど挙げたサービスは、ユーザー単価が安くなり始める数が100よりも上だったのです。
一般論として、「ユーザー数が少数ならクラウドサービスの方が安く、それ以上だとオンプレミスの方が安くなりがち」と言えますが、どこが分岐点かはサービスによって異なります。やはり試算してみることが大切です。