一時期、iPadを使って客先でプレゼンをするのが流行しました。iPadの業務利用を前提とした、セキュアな業務ファイルの格納場所を用意したドキュメント管理ソリューションもあります。それ以外にも、iPadを使って作業報告をするものなど、多数の業務アプリケーションが作られてきました。
しかし最近は、iPadというキーワードが、お客さん(ユーザー企業)から聞かれなくなってきました。不思議に思い、何度かお客さんに質問してみました。すると「使うことがないんだよ」と。当初はメールの閲覧などに使っていたが、結局メールもPCで見た方が早く、しかもメールをPOP(Post Office Protocol)という方式で受信していたため、PCなどと同期できておらず不便だったという話でした。今はiPad向けのOfficeアプリがありますが、活用していた当時はExcelもWordも使えなかったという意見もありました。メールに添付されたExcelファイルが見られず困ったからiPadを使わなくなったというお客さんは結構多かったのです。
最近、iPad用のアプリだけを開発していた我々の取引会社が、Windowsタブレット対応のアプリケーションを開発し始めて、それを商品ラインアップに加え売り込むようになりました。カタログとか、eラーニングといったアプリケーションです。この例に限らず、アプリ開発を手掛ける企業と話をしていて「マルチデバイス対応です」という説明を受けることが最近は増えてきました。
今後デバイスがさらに多様化して、企業内でAndroid端末、iOS端末やWindowsタブレットなど、導入端末のOSが混在する状況になったときに、システムが「iOSしか対応していません」「Androidしか対応していません」と言ったらお客さんはどう考えるでしょうか。まさにiPadが一例ですが、2年後どうなる分からない状況で、マルチデバイスに対応していないシステムを買ってしまうと、「システムのバージョンアップに伴って、マルチデバイスに対応してくれるのか」といった点を懸念するのではないでしょうか。
これからは、マルチデバイスに対応したアプリケーションが必要になっていくと思いますし、アプリの開発業者もその流れに沿って動き出しています。その中で、私が注目している端末はWindowsタブレットです。例えば昨今マイナンバーのセキュリティ対策に使えるセキュリティソフトは、Android用のものはほとんど出ていません。やはり企業のシステムは全部、Windows中心に動いているのです。クラサバで、クライアントアプリもWindows用という形が主流です。今はWebアプリ(Webブラウザーから使えるアプリケーション)が中心と言われることもありますが、まだWebになっていないアプリも多数あります。