前回は、製品そのものによる選定と(製品開発元)ベンダーによる選定のどちらが重要かという問題について考えた。ビジネスのデジタル化、イノベーションのためのOSS活用、ビジネス差別化のためのクラウド活用、IoTへの積極的な取り組みが多くの企業で進んでいる現状では、ベンダーよりも製品による選定を重視すべきである、というのが筆者の結論である。
今回は、RFI(情報提供依頼)の重要性と作成にあたって守るべきポイントについて解説する。前半ではRFIの一般的な進め方やお作法について解説し、後半はベンダーにRFIを出す際に用意する回答シートのサンプルを示しながら、実務面でのポイントを解説する。
なお、本連載における「製品」とは、IT製品のことであり、ハードウエア、パッケージソフトウエア、サービスなど、ベンダーから販売されているIT製品やサービス全般のことを指している。
そもそもRFIとはなにか?
システム開発に関わったことがある読者には言うまでもないことだが、RFIとは(Request For Information、情報提供依頼)の略である。これを知らないIT部門やベンダーはまずいないと思われるが、RFIについて誤解している企業は少なくない。
筆者は日ごろ、ユーザー企業向けにシステム構築に関するコンサルティングを行っているが、RFIはすでにユーザー企業が実施しており、筆者が支援するのは、要件定義/RFP作成/ベンダーまたはパートナー選定の作業から、というケースが多い。
そのようなユーザー企業作成のRFIの中でもっとも簡潔だったのは、たった1ページのWordファイルに、「○○○関係の貴社ソリューションについて情報提供をお願いいたします」との一文が書かれただけのものであった。
この例ほど極端ではないにせよ、ユーザー企業が作成したRFIには、「どのような情報が欲しいのか」「それはなぜ必要なのか」といったことに関する説明や回答票も無しに、単に情報を提供するよう求めただけのものが多いのである。
RFIに対する誤解があるのはユーザー企業だけではない。実際、「このRFIにはユーザー企業の要件が記されていない」と筆者に質問してくるベンダーは少なくない。RFIはあくまで製品に関する情報提供を依頼するもので、ユーザー企業の要件を記載するものではないにも関わらず、である。