前回は、製品選定とパートナー(SIer、NIer、販売代理店など)選定のどちらが重要かということについて考えた。企業ユーザーは「テクノロジー」や「アーキテクチャー」採用に対する明確な戦略や中長期な方針を持ち、それに基づいてパートナー企業を選定すべきだ、と述べた。

 今回は、製品という切り口での選定とベンダー(製品の開発元企業)という切り口での選定のどちらが有効なのか、という問題について解説する。ここで、本連載における「製品」とは、IT製品のことであり、ハードウエア、パッケージソフトウエア、サービスなど、ベンダーから販売されているIT製品やサービス全般のことを指す。

御社は製品で選んでいるか、ベンダーで選んでいるか

 ユーザー企業がシステム構築に必要なソリューションを選定する場合、「製品」を基準に選ぶのか、それとも「製品開発元のベンダー」を基準に選ぶのか、どちらが好ましいだろうか。これは意外と難しい問題である。

 例えば、「大手ネットワークベンダーや大手OSベンダーの製品を自社標準にしており、これらのベンダー製品は優先的に採用する」というユーザー企業は多い。しかし、ERPやSCM、ECなど大きな投資を要する領域では、ベンダーを基準にして選ぶユーザー企業は少なく、製品の仕様、自社の要求に対する充足度、品質、将来性などで選ぶ傾向が強い。

 逆に、特定ベンダーを自社の標準としていない場合でも、存在感の大きい(シェアが大きい)大手ベンダーが存在する領域(例えば、ミドルウエアやシステム管理ソフトなど)では、ベンダーで選ぶ企業が多い。

 いずれにせよ、筆者の経験から言うと、すべての領域にわたって、自社の考え方や戦略を守って選定を行っているようなユーザー企業は非常に少ないというのが実情である。

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