前回(「第8回 RFPの作り方~押さえておくべき7つのポイント~」)は、RFI(情報提供依頼)の目的と作成にあたってのポイントについて述べた。繰り返しになるが、RFPの真の目的は「製品やパートナーの選定」であり、概算費用の算出やベストプラクティスの収集などは、あくまで補助的な目的と捉えるべきである。また、RFPの作成は「選定」という最優先の目的を果たすための作業に留めるべきであり、言葉を換えれば無駄に詳細で広範囲なRFPを作るべきではない、とも述べた。

 今回は本連載の最終回として、「選定」においてテクノロジーがいかに重要であるか、ということについて解説する。なお、本連載における「製品」とは、IT製品のことであり、ハードウエア、パッケージソフトウエア、サービスなど、ベンダーから販売されているIT製品やサービス全般のことを指している。

テクノロジー・ライフサイクルと企業におけるテクノロジー検討プロセス

 本連載では、これまでに多くのIT部門が行ってきた、ベンダーまたはパートナーの知名度や製品のシェアによる選定ではなく、「テクノロジー」や「アーキテクチャー」をベースとした戦略的な選定を行うべきであると述べてきた。

 それでは、「テクノロジー」や「アーキテクチャー」の良しあしはどのようにして判断すれば良いのだろうか。本連載では「アーキテクチャー」とは、「システムの基本的構造や設計思想」のことであると定義している。これは単一または複数のテクノロジーを組み合わせた製品の構造や設計思想にほかならないため、本稿ではテクノロジーを中心に解説していく。

 食品、商品、建築物など、あらゆるものにライフサイクル(寿命に至るまでの過程)があるのと同様、テクノロジーにもライフサイクルがある。それは主に以下の4段階で構成される。

図1●テクノロジー・ライフサイクルと企業の活用サイクル
図1●テクノロジー・ライフサイクルと企業の活用サイクル
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<黎明期>
新しいテクノロジーが登場したばかりで、一部のギーク(技術オタク)な人を除き、ほとんど認知されていない段階。
<成長期>
新規テクノロジーを嗜好する人々の間で話題となり、一部の先進的な企業や組織で利用が始まっている段階。
<成熟期>
成長期を経て数多くの活用事例が紹介され、多くの企業がそのテクノロジーを利用している段階。採用時のリスクがほとんどない代わりに、そのテクノロジーを活用して他社との差別化を図ることは難しい。
<衰退期>
代替する新規テクノロジーの登場などにより、そのテクノロジーの利用者や研究開発者が減少する段階。

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